外壁塗装 横浜曽根塗装店

DIY外壁塗装 DIYで外壁塗装を目指す会社員Mさんと塗装店店主 静岡⇔横浜 書簡集

[069]2006.07.01(土)04:11

 subject: DIY外壁塗装志望者へのアドバイス

 


M様

やはり,PC,イキましたか。
お返事 待ってました。(完結できないので)

さて早速,表題の「DIY外壁塗装志望者へのアドバイス」について,ですが,
私としては,予算・所要日数・段取りや作業における注意点,など,
もっと初心者さん向けの情報が返ってくると思っていただけに,
Mさんがあげた下記3つのポイントは意外でした。

> ◎どこまで、塗るか?
> ◎なにをどう?塗るか?
> ◎仕上がりよりも、大事でしょうけど・・・下地がもっと大事なのかな??

・・・これスゴクまとめにくいんですけど(笑)
Mさんが書かれている通り,そもそも結果的にマニア向けなページなんで,
ポイントが“深い”のは,しょうがないですかね  (^^;)

> ◎どこまで、塗るか?

要するに,外壁面への付帯物をすべて外して塗るか,否か,ということですが,
確かに下地の種類とその上に重ねる塗装の種類によっては,

> 塗り残しがあると、塗膜との間で水風船みたいな状態になる

ことがあります。
そうでなくても,“切れ目のない塗膜で覆い尽くす”のが塗装の理想です。
しかし,現実問題として,どうするかは,
実害が生じる可能性と一時撤去&復旧にかかる手間を考慮した上で答えを出すしかないでしょう。

で,以下,端的な例として,実際に以前いただいた質問メールです。
(50代の『会社員+アパート経営』という他県の方)

> 塗装業者に質問すると、塗れなくて当然と言われるのが、ガス湯沸かし器の裏です。
> 素人の私は全体をやるのだから、なぜそこだけ塗らないのか理解出来ない。
> ガス湯沸かし器の裏も外壁と言いたいのです。
> 電気のメーターは、ちょとそっとでは無理かと思うのは一人がってでしょうか。

対する私の返信です↓

> 『出来なくて当然』とも『一人がって』でもないと思います。
> 私の場合,『ガス湯沸かし器の裏』は細いローラーや細いハケで塗れるときには塗りますが,
> 狭過ぎて塗れないときには塗れませんから,塗りません。
> でも,施主さんがそのように要望されるなら,ガス屋や水道屋や電気屋を呼んで,
> 一旦取り外してもらうか,塗れる程度の間隔をあけて取付をやり直してもらうか,
> どちらかを行うことになるでしょう。
> ですので,逆にお尋ねしたいのですが,
> 例えば,『ガス湯沸かし器の裏』の外壁を塗るための撤去や復旧の費用として,
> 10万円が見積書に計上されていたとして,○○様はそれを当然の事として受容されますか?

ホントに『水風船』になることがあるのは吸水する下地の上への弾性仕様で,
この場合,塗膜の裏側に水が回り込むことは極力避けるべきです。

でも,弾性仕様ではなく,濡れると顕著に腐ったり錆びたりする素材でもなく,
雨がじゃんじゃんかかる場所でもないのなら,諦めるのが妥当,と私は思います。
(諦めるのがイヤならその分の手間あるいは費用をかけるしかありません)

Mさんのお家の場合,下塗が「微弾性」ではありますが,ゴムい塗膜ではないので,
給湯器の裏側の壁面を塗り残しても,おそらく『水風船』にはならないでしょうが,
防水的な塗膜がない「セメントスタッコ」=“色付きモルタル”な吸水下地だったので,

> 外せる部分は何でも外す

という方針は適切だったと思います。

私が電源ケーブルとかエアコンの配管カバーとかを外す場合は,
切れ目のない塗膜で覆い尽くしたいという動機もありますが,それよりも,
養生するより外した方が手っ取り早い,とか,塗りやすくなってキレイに仕上がるから,
という理由によることの方が多いです。
あるいは,塗装の寿命以前に交換される可能性があるものの場合,
壁と一緒に塗りたくってべったり張付かせてしまうと外しにくくなって後で困るのではないか,
という配慮です。

それと,錆びた金具を交換したいと思う理由は,経験上,錆止塗装してから塗ってもダメだからです。

それらの脱着やら交換は,Mさんが書かれている通り,実はかなり意外に手間喰いますから,
業者でも無視する場合がほとんどでしょうし,曽根塗装店でも,最近は“インフォームドコンセント
&逆オプション”にしようかな,と思ってます。

次,

> ◎なにをどう?塗るか?

ですが,塗料の選択は,DIYの場合,普通は購入先の言いなりになるしかないと思いますし,
プロでも,カタログの宣伝文句そのままのサイトが多いことが証明している通り,
だいたいそんなもんでしょう。
「低汚染塗料」とか「高耐久塗料」とか書かれていれば,そうなのかな,と。
それ以上ツッコむのは時間と手間がかかりますから,DIY志望者の方への意見としては
まあ,とりあえずは,予算があれば高めのものを塗っときなさい,ということにしておきます。

色の選択ついては,小さな色見本ではわかりませんから,
実際に建っている,気に入った色の建物を見本にして決めるのが間違いないと思います。

> 永遠って訳にはいかない

のは塗装の欠点のようにしか思わない方も多いですが,ペンキ屋としては,
「タイル張り」と違って後から色を変えられるのは多大なメリットなのだと言わせてほしいです。
また,私が大好きな天野塗装HPの『あのお宅は今』の冒頭で書かれている“甦り感”を
定期的に味わえるのも塗装の良さだと思います。
(『礎』の文章もぜひ読んでください)

それと,

> どう塗るか

は,手短かに言うと,チョンボはするな,これに尽きます。
希釈率とか,塗装間隔時間とか,2液だったら配合比とか。
職業としてやる場合は「どの程度手を抜いても平気か」という“柔軟性”はアリ?かもしれませんが,
“バレなくても自分は知ってる”わけで,思考力があれば最終的には自己否定につながるでしょうし,
DIYだったら我が家なんですから,なるべくちゃんとやりましょうよ,って思います。

それと,耐久性には無関係でも,仕上り感からいえば養生も非常に重要ですよ (^^)

Mさんの場合,私がとても感心したのは,塗付量の管理です。
プロなら,この壁にこれ塗ると平米このくらいだろう,というのがだいたいわかりますが,
DIYだとなすりつけるかゴテゴテにしてしまうか,偏りがちだと思いますから,
面積で割り振って塗るという方法がやはり正解でしょう。(拍手)

3つめの

> ◎仕上がりよりも、大事でしょうけど・・・下地がもっと大事なのかな??

もディープな指摘です。

> 上塗りすると元に戻れませんから

と書かれている通り,洗浄不足,ケレン不足,下塗省略,乾燥不良など,
とりあえず仕上がれば隠れてしまう“過程”が原因してトラブルが生じたら,
上から塗ったものを全て剥がさない限り,やり直したことにはならないので,
最低限&最重要の注意点でしょう。

ただ,

> どうしても、先に進みたい!てか進まないとマジイ><;とか
> 考えると、その葛藤ですね。

の『葛藤』はDIYよりも,生業として成立させなければならないプロの方が大きいのではないか
と思います。
もちろん,ビジネスライクで悩まないタイプの人にはぜんぜん問題にならないでしょうけど,
丁寧でも時間を掛け過ぎる職人は親方から理解されなければ「役立たず」ですし,
親方としては,人件費かかり過ぎ=採算割れ=赤字ということになりますから,
結構ツライものがあるのですよ。

> 業者選びは、選べるとは思えないけど^^;
> あまり、長いのもどうかと思いまして、次が有るなら・・・次でいいですか?

はい,お待ちしてます。
次回の塗り替えを業者に依頼する場合,あるいは,知り合いの方から相談された場合を想像して,

『★塗装業者に外壁(屋根)塗り替えを依頼する場合に気を付けたいこと』

“体験者”ならではのシロウトさん向け情報をおねがいいたします。
気長に待ってますので。

 

追記:
お伺いした時に,サイディング外壁のお家にお住まいの,御近所の知り合いの方がDIYするかも,
というお話でしたので,エクストラ・スペシャル・ボーナス・トラックとして,
「サイディングのコーキングのやり方」のページを作りました。

助っ人に行ってあげてくださいね,ゼヒ (^o^)

[069]2006.07.01(土)04:11


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