外壁塗装 横浜曽根塗装店

DIY外壁塗装 DIYで外壁塗装を目指す会社員Mさんと塗装店店主 静岡⇔横浜 書簡集

[028]2005.10.23(日)05:09

 subject: シーラーの意味,微弾性フィラーの塗り方

 


M様

> 準備は、昨日の夜の内に

ふむふむ,7インチは“鳥かご形”のローラーですね。
こっちの方が,回転部分が内蔵されたローラーよりも回転がスムーズなんですが,
塗料に漬けっぱなしにすると,内側の空洞に塗料が入ってしまうのが難点といえば難点です。

ローラー塗りのための箱形の容器を「船」とか「バケット」というのですが,
平たい皿状のものは,ちょっとしたDIY用なので,外壁塗装では役に立たないでしょう。
ペンキ屋は一斗缶を切って作ります。
縦船派と横船派がいますが,曽根塗装店は横舟派です。

ローラーバケット「横舟」

それから,ローラーネットを使わない派もいます。
慣れの問題もあるでしょうが,私はネットがあった方が良いと思います。

さて,あいにくのお天気でしたが,いよいよ塗りにはいりましたね (^^)

> シーラーが乾くと壁の色が元に戻るみたいですね(艶有りぽくはなるけど
> そこで、シーラーって下地調整・防水って書いてありますけど
> 壁に染み込んで、壁自体も丈夫にしますか?

シーラーを塗るのは吸い込ませて表面を固めるのが主目的です。
次に塗り重ねる塗料が吸い込まれないようにするという意味で「下地調整」ですし,
吸い込みを止めるという意味で「防水」です。
では,壁を丈夫にするのか,というと,まあ,少しは。
吸い込むといっても,1センチも2センチも入っていって固めるわけでなく,
せいぜい数ミリでしょう。
その吸い込む深さ=「浸透性」が,シーラーの効き具合=性能になり,
水性より溶剤形,溶剤形でも1液形より2液形の方が優れています。

ほぼ透明のシーラーは乾くと「乾き色」に戻るので,パッと見には,塗ったんだか
塗ってないんだかわからなくなりますけど,効いている場合はちょっとツヤが出ます。
そして,効いていれば,濡らしても,もう「濡れ色」にはならないはずです。

指で擦ったアップの写真,すごくイイですねー。
擦って粉が付くのは,表面がモロいからです。
この粉っぽい状態の上に,浸透性の無い微弾性下塗材を直接塗ったら
上に乗っているだけですから,十分な密着は得られないわけです。
だから,シーラーが必要なのです,セメントスタッコの場合。

足場は「ビデ足場」ですね。
当店の営業範囲内の住宅の場合,Mさんのお家のように外周がたっぷり空いてる
ということはほぼ皆無なので,これは使えませんけど,安全性は一番です。
ただ,念の為,倒れないように,下記いずれかの方法で支えをとっておくことをおすすめします。

・丈夫な窓格子と足場に角材を渡して「バンセン」といわれる針金で縛る

・破風板の下の小口に角材を打ち付けてもう一方を足場に縛る

・足場の外側の地面に角材(または鉄パイプ)を打ち込み,
 そこから足場に角材(または鉄パイプ)を渡して足場に縛る

「スケボー」状のものは,たぶん「ローリングタワー」(可動式の台)だと
思いますが,不意に動くと危険なので,十分に注意してください。

> 塗るという行為自体は焦らなければ、
> さほど難しいと感じることは無いです。
> この辺りはシーラーなので染み込ませるのみなので、
> 厚みとかは考えなくて良いってことが大きいでしょうけど

その通り,シーラーは膜厚が付かないので「垂れやすい」こと以外,神経使わなくて済むのです。
後で説明しますけど,フィラーの段階で「塗りも奥が深い」と,
“身を持って”知ることになるでしょう。(ちょっとオドシ)

> 壁に付いてる機器・留め金具・配線これを、どう扱うかが
> 作業する上で、一番手間・暇かかることだと思いますので

『一番』でもないんですが,ただ無神経に&闇雲にばんばん塗るだけならものすごく早く終わる
ということが十分に御理解いただけたと思います。

> 「共感」と言う言葉に関しては、
> 我が家も「曽根塗装店施工の家」と言えなくないと感じる今日この頃です。

Mさんとは長いメールのやり取りがあって,それを実践されてきたからこそ
「共感」できたわけで,とてもうれしく思います (^^)

> 例のシリコン削った部分アップにしてみました。

執念の削りですね...これなら十分でしょう。
シーラーの後,「スーパーホルダーG」を乗せた直後に湿らせたハケでボカしてくださいね。
こんなふうに↓
http://www.sone-tosouten.com/03sp/m0312/03.htm#g2tubu

> 今日少し塗り始めて、フィラー塗る時の疑問が2・3思いついたのですが、
> 明日写真と共に、書きますので
> お願いします。

明日はまだフィラー塗らないですよね? (明日というかもう今日ですけど)
明日は午前中見積り,午後は浜松から同業者の友達が来る予定なので,
お返事が遅れるかもしれません。
なので,フィラー(微弾性下塗材)塗付の際の注意点を以下に。

◆希釈
私が「ナノコンポジットW」を採用したときには,まだ「ナノコンポジットフィラー」は
発売されていなかったので,同社の指定に従って「リフレッシュフィラー」を採用,
7%希釈で使用しました。
「ナノコンポジットフィラー」の希釈率は上限が5%になっているので,
「リフレッシュフィラー」よりも粘度が低いのかもしれません。
(「リフレッシュフィラー」は「ホルダーG2」よりも粘度が低くバサバサした感じでした。)
ということで,メーカーの方に電話して聞いてみました。
「ナノコンポジットフィラー」は「リフレッシュフィラー」より滑らかなようで,
ウールローラーで塗付する場合,とりあえず,5%(1缶に対して水800g)希釈,
あまりにも塗り味が重たいときには1kg希釈してください,とのことです。
でも,シーラーに較べたらずっと重たいので,それが“適度に重たい”のか
“あまりにも重たい”のか,初めて塗るMさんには判断できないと思います。
なので,1kg希釈,それ以上は延ばさないでください。

◆ローラーの準備
ハケとローラーについては前回書きましたが,ローラーは使いはじめる前に,
両端をライターの炎で軽くあぶってください。
こんな感じに↓(筒形ローラーの場合は端部の角)

ローラー端部をあぶった状態

なぜこんなことをするのかというと,ローラーを使いはじめてしばらくすると,
毛が少々固まってきます。
固まったときに,端部が筋状に出っ張ることがあり,そのまま使うと塗付面に筋が付くのです。
(職人はこの筋を「耳」といいます)
なので,はじめにあぶって丸めておくわけです。

ダメコミ
「ダメコミ」とは,軒裏との境目とか窓の周りとかを先にハケ塗りしてゆくことで,
このとき,ローラー塗りするところと重なる部分に塗料を溜めないでください。
ダメコミの跡を盛り上げてしまうと筋になって出っ張ってしまいますので。

ダメコミの時の注意

重なり部分のムラを極力出さないためには,
ダメコミしたら,それが乾かないうちにローラーで追いかけて塗ることです。

◆微弾性下塗材の塗り方
スタッコは凹凸が深いので,縦横にローラーを動かさないと塗り落としが出来ます。
下の図のように塗ってください。

微弾性下塗材塗付の際のローラーの運び

1.ローラーに塗料を付けて,ピンクの矢印のように上→下,
  また塗料を付けて,その左側にちょっと重ねて下→上,
  また塗料を付けて,その左側にちょっと重ねて上→下,
  また塗料を付けて,その左側にちょっと重ねて下→上,
  また塗料を付けて,その左側にちょっと重ねて上→下,
  また塗料を付けて,その左側にちょっと重ねて下→上
  と,十分かつ適度に塗料を配ります。
  (上下を交互に逆にするのはなるべく均等に塗料を配るためです)
  “塗る”というより,“持っていって置いてくる”感じで。
  回転させはじめる位置ではごくごく軽く,
  それから次第にローラーを壁に押し付ける強さを増してゆきます。

2.ローラーに塗料を付けずに,青い矢印のように
  右→左,左→右,右→左
  と,塗料を万遍なく均します。
  この段階で,下地がすべて隠れるようにしっかり擦り込みます。

3.塗料を付けずに,緑の矢印のように
  下→上,下→上,下→上,下→上,下→上,下→上
  と,比較的ゆっくり,整えるように。
  ローラーに加える力はごく軽く一定に,
  塗付面に対してあくまで平行を保ってください。

500mm×900mmは目安です。
温度と湿度によってはもっと広範囲ずつ塗っていっても構いませんが,
お天気が良く&気温が高く&湿度が低いというように,乾燥が早い状態の場合は特に,
何度も同じところを転がしていると,徐々に乾いてきて塗り肌が悪くなります。

必要最小限の動作で漏れなく適度に塗れるように,考えながら塗ってください。

下の2枚はよくある失敗例を再現した写真です。

配りと均しがわかってないので,スケだらけ↓

施工不良/透けだらけ

 

均しがむちゃくちゃで耳だらけ↓

施工不良/耳だらけ

施主さんが気付かないだけで,こういう↑塗られ方をされていることは意外と多いです。

お昼時など,一時作業を休止する時には,ローラーを塗料の中に漬けて,
容器ごとビニールで包んで日陰に置いてください。

1日の作業の終了時は,1週間空く場合,容器の塗料を缶に戻してローラーを漬け密閉,
容器は洗ってください。
ハケもざっと洗って水に漬けておいてください。

私はこれからちょっと寝ますが,そろそろMさんが起床する時刻だと思います。
本日はお天気が良さそうなので,がんばってくださいね。

[028]2005.10.23(日)05:09


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