● 天候が崩れ,工事が3日間中断してしまいました。
前回に引き続き,サイディングの継ぎ目のシーリング材充填の続きです。
継ぎ目にひび割れが生じていますが,これはシーリング材自体が割れているのではなく,
塗装の膜が割れているだけです。
なので,既存のシーリング材を撤去してやり直す「打ち替え」ではなく,
上から重ねて充填する「増し打ち」を行いました。
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【無塗装サイディング+現場塗装】よりも【工場塗装済みのサイディング】の方が安いので,
この建物のように,サイディングの上に吹付塗装で模様を付けて仕上とするのは神奈川・東京では
かなり珍しいです。
通称「吹付タイル」といわれるこの塗装がシーリング材を覆って保護しているため,
「増し打ち」で済みましたが,もし【工場塗装済みのサイディング】が張ってあったとしたら,
塗装色と同じ色のシーリング材がむき出しになりますので劣化が早く,既存のシーリング材を
撤去してやり直しになっていたであろうと思います。
● 続いて,モルタル面のひび割れの処置です。
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前回試みた「エポキシ樹脂注入」による「固定・接着する方法」は断念,
予定通り「埋める方法」を行うわけですが,埋めるにしてもやり方がいくつかあります。
一般住宅のモルタルの外壁塗り替えでごくごく一般的な方法は,ひび割れにシーリング材
(コーキング材)やモルタルなどを擦り込む方法です。
下の写真は(別の現場でのものですが)その実例です。
(マウスポインタを乗せると作業中の写真に変わります)
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今回の工事でも細いひび割れには上の写真と同じ処置を行いましたが,0.5ミリ程度を超える
ひび割れにはV字形に溝を掘る「Vカット」を行ってから そこにシーリング材を充填しました。
下の写真が「Vカット」の道具です。
モーターで回転する金属の円盤の外周部には細かいダイヤモンドの粒々が埋込まれています。
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● こんな感じで掘っていきます。
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● 上の写真の円盤では掘れない狭いところやトタン・アルミサッシなどの近くは外径の小さいものに
変えてギリギリまで掘ります。
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● 私が「Vカット」を行っているところを撮ってもらいました。
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● 「Vカット」すると,ひび割れ=「クラック」はその下まで続いていることがわかります。
また,前日の雨で中がまだ少し濡れていることもおわかりいただけると思います。
(マウスポインタを乗せると「Vカット」後の写真に変わります)
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● 「Vカット」したところには後で新築時と同様の吹付塗装を行って模様を復元するのですが,
“掘った筋だけに吹き付ける”ことができないので,周囲を平らに削ります。
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● 「Vカット」が済んだら,溝の中に液状の接着剤「プライマー」を塗ります。
(シーリング材をしっかり密着させるためです)
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● 「プライマー」が乾いてからシーリング材(コーキング材)をにょろにょろと乗せてゆきます。
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● ヘラで押さえ込みながら均します。
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● シーリング材だけでは平らにならないので,凹み気味に均しておいて,後でモルタルで平滑にします。
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● シーリング材の充填まで終わった時点の様子です。
(マウスポインタを乗せると施工前の写真に変わります)
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● 「Vカット+シーリング材充填」はこの日1日で終える予定でしたが,いざ作業をはじめてから
つぶさに見てゆくと,「う〜ん,この際,これも掘っておいた方がイイよなー」と思えるところが
結構あり,終わるどころか,西側と北側の2面だけで精一杯でした。
● モルタル外壁のひび割れ(クラック)には多くの原因が考えられ,埋めて塗装すれば治まる場合と,
そうでない場合があります。
「過去に埋めて塗り替えたが 同じところがまた割れた」という場合には,「ひび割れを境に壁が
動いている」ということが明らかですが,この建物は今回築後初めての塗り替えであり,
同じ処置をしてもその後の経過は建物によって異なるため,どの程度の処置をしておくべきか
判断が難しいです。
過剰な処置は予算の無駄使いですから,とりあえず1回目の塗り替えは単にシーリング材などを
擦り込んで済ませ,次回の塗り替え時に検証し再検討するという考え方もあります。
しかし,処置不足ですぐに割れてしまったら塗り替え工事を行った意味が無くなってしまいます。
どうするか?
リスクやメリットをお話した上で,下地処理を含め施工内容の異なる5通りの見積書を提出した結果,
今回「Vカット」を行うことで決まったわけであります。
【単にシーリング材を擦り込む場合】と【Vカットを行う場合】を図示すると下のようになり,
シーリング材を充填できる量がぜんぜん違います。
塗り替え後にひび割れが動いた場合でも,「Vカット」した上で厚くシーリング材が充填してあれば
破断する可能性はかなり低くなります。
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