外壁塗装 横浜曽根塗装店

塗料の黙示録(塗料の比較テスト) 比較試験による塗料性能解明の試み

序章(塗料の分類・種類)


■ 建築用塗料種類・分類について

前のページで,一体何を書いているのか,よくわからない方もいらっしゃるかと思いますので,はじめに,
予備知識として ごく大雑把な解説をいたします。

 

 ◎下塗塗料と上塗塗料

通常の塗り替え工事は3回塗って仕上げられます。
外壁塗装の塗替えの場合,特別な場合を除き,「シーラー」や「微弾性下塗材(微弾性フィラー)」といった
下塗りを行った後に,上塗りを2回行って仕上げる
のがカタログ通りの標準仕様です。

既存クリーム色の上に白い下塗
ピンク色で上塗1回目
濃いめのクリーム色で上塗2回目
外壁塗り替え/下塗
外壁塗り替え/上塗1回目
外壁塗り替え/上塗2回目

(上塗り2回のうちの1回目を「中塗り」と表現する場合がありますが,本来の「中塗り」は
模様を付けたり厚みをもたせたりするための目的をもった,下塗塗料とも上塗塗料とも異なる塗料を
使用する場合に用いる呼称です)

 

 塗装の耐久性

ほんとうに長持ちする塗装を行おうとするならば,塗料の質を云々する以前に,塗装する前の下地処理の
良し悪し,塗装面の十分な乾燥,塗料の適切な希釈率,適度な塗付量,適正な間隔(時間)を確保した
適正な塗り回数 等々,施工の質が問題になります。
さらに遡れば,そもそも塗装する対象物自体の質・状態・立地条件 等が塗装のもちを大きく左右します。
よって,単に“良い塗料”を使ったからといって良好な結果が得られるとは限らないわけですが,
“純粋に塗料の性能・品質のみのレベルで考えた場合”には,上塗塗料の成分によって耐久性が決まります。

 

 ◎上塗塗料のグレード・種類分類

上塗塗料の成分のうち,耐久性を左右するといわれているのは“合成樹脂の系統”です。
「外壁塗装を塗り替える場合の塗料の選択」のページで書いた通り,

 アクリル → ウレタン → シリコン → フッソ

というグレードがあります。
(いわゆる「ペンキ」=「合成樹脂調合ペイント」=「SOP」は「アクリル」よりも下に位置します)

さらに,上記それぞれの“合成樹脂の系統”ごとに,

 強溶剤系塗料・弱溶剤系塗料・水性塗料

という“希釈に用いる液体による区別”があることは「実録塗替物語」の[14]に書いた通りです。

それから,もう1つだけ分類方法を付け加えておくと「そのまま塗れる塗料」と「2つの別々の液体を
塗る前に計量混合して使用する塗料」
,つまり,

 1液形塗料・2液形塗料

という区別があります。

現在販売されている塗料のうち(位置付けが特殊なものを除き,私が知る限りで)外壁や鉄部などの上塗りに
使用する建築用汎用塗料
を以上の3つの分類方法に則って列挙すると,下記のような具合になります。

   1液形水性アクリル樹脂塗料

   1液形弱溶剤アクリル樹脂塗料

   1液形強溶剤アクリル樹脂塗料

   1液形水性ウレタン樹脂塗料

   2液形水性ウレタン樹脂塗料

   1液形弱溶剤ウレタン樹脂塗料

   2液形弱溶剤ウレタン樹脂塗料

   1液形強溶剤ウレタン樹脂塗料

   2液形強溶剤ウレタン樹脂塗料

   1液形水性シリコン樹脂塗料

   2液形水性シリコン樹脂塗料

   1液形弱溶剤シリコン樹脂塗料

   2液形弱溶剤シリコン樹脂塗料

   2液形強溶剤シリコン樹脂塗料

   1液形水性フッソ樹脂塗料

   2液形水性フッソ樹脂塗料

   1液形弱溶剤フッソ樹脂塗料

   2液形弱溶剤フッソ樹脂塗料

   2液形強溶剤フッソ樹脂塗料

この列挙は,よくあるキーワード羅列のスパム行為ではありません(笑)
塗料にはこんなに多くの種類があるということを画面をスクロールして実感していただきたかったわけで,
実際には,同一メーカーの同一の括りの中で複数のグレードが用意されていたり,
「硬質」タイプと「弾性」タイプがあったり,「ツヤ有り」タイプと「ツヤ消し」タイプがあったりして,
さらに多くのバリエーションが存在します。
しかも,それぞれの「同等品」が十数社の塗料メーカーから発売されていますから,
それらをひとつひとつ数え上げていったら膨大な数になります。

 

■ 実験した塗料について

発注者から使用する塗料の指定がない場合,どの塗料を使うかは,実質上 塗装業者が決めるわけですが,
その選択理由は業者によって様々だと思います。

「大手メーカーの塗料だから」
 ・・・大手なら安心という判断の仕方は非常に安易ながら無難かもしれません

「安いから」
 ・・・工事価格が同じなら,分類上は同等品の安価な塗料を使用した方が原価を抑えられます

「塗りやすいから」
 ・・・塗りやすいかどうかで作業効率にかなり影響しますが,その他の性能とは一致しない場合もあります

「乾燥が早いから」
 ・・・乾燥が遅いと乾くのを待つための時間のロスが生じやすく,作業効率が低下します

「1液形塗料はラクだから」
 ・・・姉妹品として2液形が併行販売されている場合,性能では明らかに2液形が優るのが常識ですが,
    2液形は指定の比率で計量混合する必要があるため,1液形に較べ,作業効率が劣ります

「評判が良いから」
 ・・・信頼できる情報なのかどうかが問題ですが,評判が悪いものには手を出せません

「ツヤが良いから」
 ・・・ツヤ消し仕上を指定される場合は別として,ツヤの良し悪しは仕上り感の印象を大きく左右します

「臭いが少ないから」
 ・・・入居中の工事では臭いがキツイと施主さんに負担がかかるだけでなく,
    近隣からクレームが生じる場合があります

「高性能な塗料を使っていることをアピールしたいから」
 ・・・たとえ単純にカタログ情報の受け売りであるにしても,
    塗料の高性能をウリにすることは他社との差別化をはかるための手段となりえます

「長持ちすると仕事が減るから」
 ・・・塗り替えの周期を延ばすことは塗装業者にとって自殺行為に近いという考え方もあります


以上,思い付くままにあげてみましたが,塗料の選択理由は業者の“体質”により異なります。
言い換えれば,何を優先して塗料を選ぶのかによって,まったく同じ塗料が“良い塗料”だったり
“ダメな塗料”だったりするわけです。

 

さて,神奈川や東京での住宅塗替え工事を主とする当店では,
強溶剤系を除く「シリコン樹脂塗料」および「ウレタン樹脂塗料」を使用することが多いです。

従って,メインのテストは主にその2つのグレードで行いました。

以下,目次です。

 

      第1章:あれこれ15種類

      第2章:水性シリコン樹脂塗料

      第3章:木部塗装

      第4章:弱溶剤2液形ウレタン樹脂塗料〜弱溶剤2液形シリコン樹脂塗料

 

2004年4月現在,とりあえず第2章までアップしますが,読破するにはそれなりのエネルギーを
要しますので,今ここであらかじめ申し上げておきます。

実験の結果として,耐久性に関する判断を下すためにはまだ数年必要と思われます。
現時点で判明していることは,汚染性に関しての差異です。

結論を先に言ってしまえば,これほどの差が出るとは予想していませんでした。

つまり,「同等品同士なら,どのメーカーの塗料でも大して違わない」あるいは,
「大メーカーであれば優れているに決まっている」と盲信している そこのアナタ,
とんでもない大間違い
です。

ならば,どこのメーカーの何という塗料が汚れにくいのか?

それは,書きませんし,御質問いただいてもお答えしません。

(もし,同業者の方で「な〜んだ,ケチ!」と思った人がいたら,私がやったように,御自身でやってみて
ください。自分でやってみるのが一番確実です。

優れた塗料を上市しているメーカーの業績向上のため,ここで実名を公開して微力ながら役立ちたいという
気持ちもありますが,当店の“企業秘密”でもありますので,現時点ではメーカー名は一切非公開とします。

但し,今後“真面目な反響”が多いようであれば,HP上での公開を検討したいと思います。

 

       ※ 各ページの末尾に「戻る」と「次へ」のボタンが用意してあります。
        「次へ」のボタンを押しながら読み進むと第1章から順に最後までご覧になれます。


前のページへ  次のページへ

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「塗料の黙示録」(塗料の比較テスト)の扉のページへ  序章  第1章  第2章  第3章  第4章  終章


曽根塗装店トップページへ   サイトマップはこちらです

無断転載禁止
《 外壁塗装 塗替え 建築塗装  曽根塗装店  神奈川県横浜市 》