外壁塗装 塗替え 神奈川 横浜曽根塗装店

塗替え Q&A建築塗装の基礎知識

一般住宅外壁塗装工事の見積書の読み方

他社の見積書を目にする機会がたまにありますが,各社まちまちの書式を用いているのが実状であり,
『外装トップコート塗り足場込み 一式 ○○○円』という無茶苦茶なもの(←実話)は論外としても,
当然行うべき工程に関しての記載が無いもの,どんな塗料を塗るのかが全く書いていないもの,面積が
5割以上も違うものなど,同業者の私が見てもよくわからないもの,アイマイなもの,意味不明なもの
少なくありません。
「見積書は立派でも工事は手抜き」あるいはその逆もありますから,見積書だけで業者の良し悪しを
判断することはできませんけれども,見積書がしっかり作られているかどうかチェックすることは,
着工後のトラブルを防ぐ意味で,業者選びの基本である
と,私は思います。



以下に【破風は窯業系部材,軒裏はセメント系の板,2階の外壁はモルタルでリシン吹付塗装仕上げ,
1階の外壁が窯業系サイディング,2階と1階の中間に窯業系部材の帯(化粧胴差)があり,何ケ所か
トタンの庇が付いている】
という築8年くらいの建物を例に,外壁塗装工事の見積書の解説をします。

(※以下に記載してある塗料・材料の選択は“例示”です。“実際には曽根塗装店で使用していない塗料”も例示してあります。)

2階リシン,1階サイディングの住宅


○○邸 外部塗装工事 見積書 / 内訳明細書

名称(作業項目・部位)
仕様(作業内容・仕様材料)
単位
1
足場=仮設工事 棚足場
「m2

足場は「m2」で記載するのが普通です。

正規の算出法では,建物の横巾と高さに1m程度を加えた寸法を元に計算しますが,業者によって
算出の仕方が かなり異なり,使用する部材や高さも異なります。

一口に足場といっても,いろいろです。

  ・「単管抱き足場」
  パイプと金具のみで組まれ,平行する2本のパイプに乗って作業するもの

  ・「棚足場」( 「ブラケット足場」「ビケ足場」「一側足場」)
  縦のパイプに取り付けられた三角形の“棚受け”状の金具に渡された板に乗って作業するもの

  ・ 「ビデ足場」
  主にビルで使用される,テーブル状の台を積み上げて組むもの

足場は高圧洗浄時の水しぶきや塗料の飛散を防ぐシートをかけるためにも必要ですから,
屋根の末端より高いのが常識なのですが,軒裏よりも低い足場を頻繁に見かけます。
そのような“低い足場”は全体的に使用している部材の量が明らかに少なく,組立も解体も
早いです。

きちんとした足場には,揺れや歪みを抑えるための「筋違(すじかい)」と「火打ち」,
落下防止のための「手摺」が入っています。

棚足場

足場は純粋に工事のためだけに必要なもので,建物に残りませんが,飛散防止,作業効率,そして,
作業者の安全にとって重要なものです。
(御自宅の塗替え工事中,手摺もスジカイも無い いい加減な足場から職人が落ちて,怪我したり
死んだりしたら,いくら施主さんに責任はないといっても決して気分の良いものではないと思います)

なお,車の入らない細い道の奥や階段の上に建物があり車両を横付けできない場合には別途「運搬費」が
必要になるか割高になります。
しかし, そうでない建物でも「運搬費」が別途の項目で記載・加算されている場合があります。

「足場サービス」というパターンがよくありますが,単なる“演出”と考えるのが妥当です。
ある程度使い回しのできる資材の費用をタダにするとしても,組立と解体に要する人件費を本当に
タダにできるわけがありません。

 

2
足場シート養生 メッシュシート
「m2

全面を覆う場合には,足場と同じ「m2」数で記載するのが普通です。
足場と込みにしてあり,記載されない場合もあります。

シート無しで塗装工事を行って隣接する建物や自動車を汚してしまうトラブルはよくある話です。
部分的にシートをかけるだけなのか,全面を覆うのかを確認した方がよいでしょう。

3
施工面洗浄 高圧水洗(100〜150kg/cm2
「m2
または「一式」

塗装する部分の合計面積と同じ「m2」数で記載するのが一般的と思いますが,面積が少ない物件では,
「一式」になる場合もあります。

外壁のベタ面積(窓やドアなど「開口部」を除外しない面積)で記載している例や
どう考えても根拠が不明な「m2」数が記載されている見積書も見たことがあります。

戸建住宅の外壁塗装の塗替え工事で使用されている機械は最大圧力が「100〜150kg/cm2」クラスの
ものが使用されていることが多いと思います。(コイン洗車場の機械が「80kg/cm2」位だそうです)
至近距離からあまりの高圧をかけると外壁が削れてしまう場合があるので,限度がありますが,
洗浄の目的はホコリを洗い流すことだけではなく,粉化した塗料を落とすことにもありますから,
ある程度の圧力は必要ですし,きちんと洗浄するためには時間もかかります。

(150m2の外壁の洗浄は早くても半日くらいです)

なお,“吹き付け塗装用”の機材「エアレス」を使用して“水を吹き付けているだけ”の写真を載せて
「高圧洗浄」と書いてあるHPが実在しています
し,私自身,実際にそういう業者を目撃したことも
ありますので,圧力を確認した方が良いと思います。

《※ 高圧洗浄についてはこのページもご覧ください》

 

4
サイディング面
シーリング補修
(既存撤去打ち替え)
プライマー塗付の上,
1成分形変成シリコンシーリング
「スーパーワンLM/ハマタイト」
「m」
または「m2
または「一式」

外壁がサイディングの建物で,継ぎ目のシーリング(コーキング)がかなり傷んでいるにも関わらず,
この項目が全く記載されていない見積書を何度も見たことがあります。

既存のシーリングを撤去せずに,上から重ねて充填することは「打ち替え」ではなく「増し打ち」
(または「打ち増し」)といいます。
「増し打ち」でも問題ない場合もあるかもしれませんが,明らかに裂けている場合やサイディングの
断面から剥がれてきている場合には,「打ち替え」すべきです。

《※ サイディングのコーキングについてはこのページもご覧ください》

 

5
養生(マスキング)
「m2
または「一式」

外壁の面積と同じ「m2」数で記載する場合,「一式」にする場合,色々です。

外壁塗装の準備として必須の工程であり,戸建住宅でも丸1日はかかるので,あって然るべき項目
なのですが,塗装の単価と込みにして,この項目が無い見積書が多いです。

例えば窓を養生する場合,テープとビニールで全面を覆うのが普通ですが,ガムテープ1本張るだけで
済ませる業者もいます。
手間を省けば安くなりますが,塗らない部分を汚してしまう確率は高くなります。

 

6
下地調整 モルタル面/クラック:シーリング充填
     /欠損:樹脂モルタル補修
サイディング面/クラック:エポキシパテ補修
「m2
または「一式」

外壁の面積と同じ「m2」数で記載する場合,「m」や「ケ所」で記載する場合,「一式」にする場合,
ケースバイケースで色々です。

状態によっては塗るよりも時間がかかる場合もありますが,この項目が無い見積書が少なくないです。
見積書に下地調整に関する記載が無い場合,ただ単に“塗るだけ”で済まされても文句は言えません。

ひび割れたりや欠けたりしているところがある場合には,それをどうするのか,確認しましょう。

 

7
破風板,化粧胴差
窯業系部材
下塗:弱溶剤2液形下塗材
「リフノン/スズカファイン」
「m」
上塗:弱溶剤2液形シリコン塗料×2回塗り
「2液ナチュラルシリコン/恒和化学」

細長いものは「m2」ではなく,「m」で記載するのが普通です。

モルタル外壁の建物で,破風や軒裏もモルタルで外壁と同じ仕上が施されていて同じ色の場合には
「モルタル面」として,まとめて「m2」にする場合があります。

 

8
軒裏 ケイカル板 弱溶剤アクリル樹脂塗料×2回塗り
「ビルデック/大日本塗料」
「m」
または「m2

出巾が1m以上ある場合を除き,「m」で出すのが普通です。

 

9
1階外壁 サイディング 下塗:弱溶剤2液形下塗材
「リフノン/スズカファイン」
「m2
上塗:弱溶剤2液形シリコン塗料×2回塗り
「ファインシリコンフレッシュ/日本ペイント」

外壁は,窓やドアなど,「開口部」を差引いた面積を「m2」で記載するのが普通です。

「開口部」を差引かない外形面積で記載し,そのかわりに「養生」や「下地調整」を込みにしたりする
場合もあるようです。

外壁素材に凹凸の彫り込みがある場合や深い模様がある場合などは“表面積”が増え,平らな面に比べ
手間も材料も余計にかかるので,1.5倍とか2倍とかの「係数」をかけて算出されることがあります。

「上塗」は通常,同じ塗料の2回塗りですが,「上塗」の1回目を「中塗」と表現する場合があります。
また,仕様によっては「下塗」とも「上塗」とも異なる塗料を「中塗」として使用する場合があります。

「下塗」「中塗」「上塗」を1項目ずつに分けて単価が記載されている場合もあります。

塗り回数が記載されていない見積書はザラにありますが,論外と言わざるを得ません。

使用する塗料の名称・メーカーが見積書に記載されていない見積書もよくありますが,やはり論外です。
記載があれば,塗料のグレードや仕様の正当性等を塗料メーカーに問い合わせることができます。

《※ サイディング外壁の塗替えについてはこのページもご覧ください》

 

10
2階外壁 モルタル面 下塗:微弾性下塗材
「ホルダーG2/関西ペイント」
(※1.0kg/m2程度,パターンローラー塗り)
「m2
上塗:水性反応硬化形シリコン樹脂塗料×2回
「アクアシリコンAC2/関西ペイント」

厚みを付ける仕様の場合,塗付量も記載されていることが望ましく,「1.0kg/m2」という場合,
「1平方メートルあたり1kg」の塗料を塗るということを意味します。
「■kg/m2」×「■m2」÷「■kg/缶(1缶の量)」=所要缶数 であり,所要缶数を書類に記載する
場合もあります。

ちなみに,一般に『弾性ローラー仕上』といわれる仕様があります。
上記の仕様例とは異なりますが,『弾性ローラー仕上』も厚みを付ける(付けなければ意味が無い)仕様
です。
「アーバンテリア」,「アクアビルド」,「シリコンテックス」,「DANフレッシュR」,
「DANシリコンセラ」,「ニュートップレスクリーン」,「セラミクリーン」,「ビューレ」,
「セラビューレ」等,塗料メーカー各社から多品種発売されていますが,この種の塗料「単層弾性塗料」
を採用される場合には,多めに希釈して薄く塗る業者が少なくないため,所要缶数を確認されることを
おすすめします。
「単層弾性塗料」は1缶の量が15kgで,標準の施工を行うと下塗の後,2回塗りで最低でも
「1.2kg/m2」程度必要です。
つまり, 外壁面積が150m2の場合であれば,

150m2×1.2kg/m2÷15kg/缶=12缶

で12缶必要です。(過剰に希釈して薄く塗ればこの半分以下で済み,仕事も早く終わります)

《※ モルタル外壁の塗替えについてはこのページもご覧ください》

 

11
庇 トタン面 ケレン:全面サンドペーパー研摩
「m」
または「m2
下塗:弱溶剤2液形エポキシ錆止塗料
「エポックマイルド#2000/水谷ペイント」
上塗:弱溶剤2液形シリコン塗料×2回塗り
「パワーシリコンマイルド2/水谷ペイント」

「ケレン」というのは英語の「clean」を語源とする塗装用語で,浮き上がったり付着が弱くなったり
している古い塗膜や錆やゴミなどを除去することです。
トタンの場合には,鉄ヘラで削ったり,サンドペーパー等の研磨材でこすったりしますが,
状態によっては電動工具や薬品を用いることもあります。
ケレンの項目を別にしたり,下地調整に含める場合もあります。
ケレンは4種から1種まで規格があり,「3種ケレン」とかと記載されている場合もあります。
全くケレンをしない業者もいますので,ケレンに関する記載が無い場合には確認した方がよいでしょう。

錆止塗料にも上塗塗料と同様,多くの種類があり,用途,性能,価格が異なりますから,ただ単に
「錆止塗り」では具体性に欠けます。

また,錆止塗料は「全面に塗る」のか,「錆びているところだけ拾い塗りする」のかで価格が違います。

外壁以外の部位の塗装を仕様の記載無しに「一式」にしている著しくアバウトな見積書が少なくないので
注意してください。
細かいトタン部分があちこちにたくさん付いている建物の場合,それらをきちんとケレンして,
本当に3回塗るとかなり手間がかかるものです。

《※ トタン・鉄部の塗替え,ケレンについてはこのページもご覧ください》

 

12
諸経費
「一式」

内訳は,作業の過程で発生する産業廃棄物の処分費,現場での万一の事故に対応する保険費用,
交通費,事務費,通信費等です。
広義では,事務所・車両の維持費や利益をも含みます。
「産業廃棄物処分費」「保険費用」などを別項目で記載する例や「場内小運搬」「安全対策費」
「現場管理費」「脚立使用料」など,あれこれ項目が並べられている場合もありますが,
逆に「諸経費」の項目が無い場合もあります。

「経費」や「利益」は記載されていなくても見積金額に必ず含まれていると考えるのが当たり前です。
「出精値引」など,よくある項目に惑わされないように注意しましょう。

 


以上は,私が妥当と思う書式であって,絶対にこうであらねばならない,というものではありません。
業者により,いろいろな考え方がありますので,あなたが納得できる業者を選んでください。


※ このページは,エクスナレッジ社「月刊 建築知識」編集部からの御依頼により
  曽根塗装店店主である私が執筆し,同誌2002年8月号に掲載された原稿の一部を
  元に,一般の方向けの修正加筆を行ったものです。

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