外壁塗装 塗替え 神奈川 横浜曽根塗装店

塗替え Q&A外壁塗装・塗替え・建築塗装の質問と回答

[Q&A.25]外壁塗装で本当にシリコン塗料を2回塗ったのか知りたい

  (訪問者からのご質問です。メールでのやりとりを編集して掲載しました。)
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《O/男性/50代前半/会社役員/■■県 》

11月に6階建てのビルの外壁塗装工事をしました。
総平米数は約1200平米です。
下塗りは○○塗料の○○シーラー1回塗り、
上塗りは同じく○○塗料の水性××シリコン2回塗りです。
塗装面は築16年のコンクリートです。

シリコン塗装で他社より見積もりが安かったので決めたのですが、
実際に2度塗ったかどこで判断するのですか。

また本当にシリコン塗料を使っていたかどうか 客観的な判断はどのようなところでできますか。

塗装業者はシリコンを2回塗っていくらですというような、見積もりを出す業者が多く、
注文する方も塗料を指定する人は少ないのでしょうね。

素人考えですが、2度塗る場合は1度目を1段白っぽい塗料にして、検査し
2度目を塗らせるとはっきりわかるのでは。

また、メーカー保障を1,2年でもつけて何を何回何平米塗ったと明記すれば、
メーカー出荷の数量と照合できて安心かもしれません。
現場で薄めたり、破棄すれば同じことですが。

今回、塗装というのは金額の割には見えない買い物だという印象です。
最も情報公開されていない業種かもしれませんね。しかしそこが改善ポイントともいえますが。

疑問点の回答とご意見を伺いたいのですが。


御質問の件,お答えさせていただきます。

 > 実際に2度塗ったかどこで判断するのですか。

上塗2回を同色で塗付する場合,施工中にずーっと監視していなければ
1回塗ったのか2回塗ったのかはわかりません。

また,ローラーで塗付する場合,窓の廻りや入隅などはハケで塗付するのですが,
上塗2回同色の場合,2回目のハケ塗りを省略する業者が少なくないようです。
「膜厚計」という塗装の膜の厚さを測る測定機があるのは知っていますが,
外壁塗装の塗替えの塗膜の測定に使用可能なのかどうかは存じませんので,
塗料メーカーに問い合わせてみてください。

 > 素人考えですが、2度塗る場合は1度目を1段白っぽい塗料にして、検査し
 > 2度目を塗らせるとはっきりわかるのでは。

『素人考え』ではなく,お役所の工事などではよくそのように行われているそうですし,
当店では外壁塗装に関しては上塗2回を色違いで行うのが普通です。

http://www.sone-tosouten.com/04st/story_13.htm
はご覧になりましたか?
ここに書きましたが,色違いだと,きっちり2回塗る必要があります。
同色の2回塗りよりもはるかに確実です
が,手間がかかりますので,
業者によっては,【上塗2回を色違い】の指定をしたらとても嫌がると思います。

 > 本当にシリコン塗料を使っていたかどうか
 > 客観的な判断はどのようなところでできますか。

水性のシリコンなのか,水性のウレタンなのか,あるいは水性のアクリルなのか,
見ただけではぜんぜん区別がつきません。

外壁のあちこちから塗装の一部を削り取って分析を依頼することが可能かもしれませんので,
塗料メーカーに問い合わせてみてください。

 > メーカー保障を1,2年でもつけて
 > 何を何回何平米塗ったと明記すれば、
 > メーカー出荷の数量と照合できて安心かもしれません。

これも,お役所の工事などではよくそのように行われているそうです。
しかし,

 > 現場で薄めたり、破棄すれば同じことですが。

と,O様が書かれている通り,保証書のようなものは気休めにしか過ぎないと私も思います。

http://www.sone-tosouten.com/02qa/qa1_04.htm
はご覧になりましたか?
ここに書きましたが,現場の仕事が書類通りに行われる保証はどこにもありません。

 > 塗装というのは金額の割には見えない買い物だという印象です。
 > 最も情報公開されていない業種かもしれませんね。
 > しかしそこが改善ポイントともいえますが。

私が思うには,『情報公開されていない』というよりは奥が深いのであります。
「塗料」は“半製品”である,とはよくいわれることで,
職人同士でしか通じないような差異のある作業の集成である適切な工程を経て「塗料」が
「塗膜」となった時にはじめて「塗装」が完成します。

ところが,塗装はそれ自体“形が無い”ので,ただ“塗るだけ”“色を付けるだけ”が塗装だ
という認識しかない人が大多数です。
そのため,同じ物件を同じ価格で請け負って50%以上の粗利を残す業者もいれば,
赤字になる業者もいるわかりにくい業種
です。
「安く・早く」と「丁寧に」という要求は,「四角い円」と同様の矛盾であり,両立するはずがない
のですが,多くの顧客はその両方を求めます。
セオリー通り,カタログ通りの施工以外を「手抜き」と解釈する場合には,
十分な予算と工期が必要なのですが,クレームにならない範囲で “予算に応じた仕事”
行われているのが実状でしょう。

どういう工程で塗るのか,どんな塗料があるのか,なぜここにこれを塗るのか,等々,
本来重視すべきことを分かりやすく説明するのはとても大変ですし,
価格優先の顧客だったら,そんなことを見積の段階でいくら説明しても全くの無駄です。

http://www.sone-tosouten.com/04st/story_08.htm
はご覧になりましたか?
ここに書きましたが,私の理想とするスタンスは「インフォームドコンセント」ですから,
見積に伺った先でなるべく分かりやすい説明を心掛けています。
しかし,『そんな事言って,余計に金を取ろうとしてるんじゃないのか?』と説明を遮られた経験も
あります。

価格の安さにしか関心を持たない顧客がいれば,顧客の無知と不注意に可能な限り付け込んで
儲けようとする業者が跋扈するのは当然の成りゆき
ではないでしょうか。

O様が,

 > 塗装というのは金額の割には見えない買い物だという印象

をもたれたのは,塗装業界の現状からすれば,仕方のないことかもしれません。
しかし,それを『改善』しようとしている業者は■■県にもきっといると思います。

工事が終わってから施工内容を疑うのはとても哀しいことだと思いませんか?
私は顧客との信頼関係の上で仕事をしたいと思います。

ちなみに,当店では今年3000平米の塗装工事を施工しました。
見積書には使用予定の塗料の缶数を記入,現場搬入の際には缶に番号を書込み,
希釈は秤で行い,4工程を色違いで塗付,潰した空き缶を工事終了まで現場保管,
使用しなかった分の塗料代は請求時に差引きました。

なお,○○塗料には3種類の水性シリコン塗料が存在,
 「××シリコン」→「△△シリコン」→「○○シリコン」
の順で高価です(「××シリコン」が最も安価)。
水性シリコン塗料は価格差が大きく,1缶1万円位から2万円を超えるものまでいろいろですし,
溶剤型のシリコン塗料は3万円を超えるものもあります。

O様が御依頼になった業者はこのような説明をしましたか?

 > 他社より見積もりが安かったので決めた

そうですが,見積を依頼した複数の各業者に納得のいく説明を求めましたか?

O様が価格の安さで業者決定されたのなら,価格の安さにのみ満足すべきと私は思いますが,
いかがなものでしょうか?

追記:
“後の祭り”かもしれませんが,半年ほど前に「月刊 建築知識」という雑誌からの依頼で
塗装工事についての原稿を書きました。
塗装工事のコストの内訳や見積書の読み方など,いずれは編集してHPに加える予定ですが,
下記の非公開アドレスに(没になった部分も含め)オリジナルの原稿がアップしてありますので,
今後の御参考になれば幸いです。

http://www15.big.or.jp/~stt/viproom/公開準備中/


早速のお返事感謝いたします。
次回の塗装には曽根様のアドバイスで、納得のいく塗装が頼めそうです。
また、当地にも曽根様のような塗装店が増えることを願っております。
丁寧な説明に深く感謝いたします。


以上,2002年12月19日着信のメールから始ったやりとりです。
(その後,「塗替えQ&A」の大幅なリニューアルを行い,雑誌原稿を分散して加えました。)


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