● 塗替え工事の“見積もり合わせ”をするときの注意点
「複数の業者に見積もりさせて比較する」ことを“見積もり合わせ”とか“相見積もり”といいます。
“見積もり合わせ”をするときに大切なことは なるべく「条件を揃える」ということです。
工事価格はその内容によってかなり上下しますから,価格だけを比較しても意味がありません。
たとえば,ここに,130万円のA社と80万円のB社,二つの見積書があるとしましょう。
B社の方が50万円も安い!と単純に喜ぶことはできませんし,A社の方が丁寧な仕事をするとも
限りません。
価格と工事内容との釣り合いを読み取る心構えを持って,どうして値段が違うのかを考えながら
見積書をよく見てください。
ポイントは主に以下3つです。
1.工事範囲の確認・・・「どこからどこまでを塗るのか?」
塗装する部分の項目に,A社とB社とで食い違いがないか,よく見ましょう。
(例:A社では塗ることになっている部分がB社からの書類には記載されていない)
最初の見積もりでは安くても,工事に取り掛かってから追加追加で請求額を増やしていく業者も
いるようですから,とにかく安ければ良い,という人もこれだけは必ず確認して下さい。
2.仕様の確認・・・「どういう塗料を使って,何回塗るのか?」
同じグレードの塗料を同じ回数,同じ量塗るのでなければ公正な比較とは言えません。
仕様の正当性や塗料のグレードは,塗料メーカーに問い合わせればわかりますので,必ず,
使用する塗料の名称を見積書に明記してもらいましょう。
3.人工(工事に要する延べ人数)の確認・・・「何人で何日くらいかかるのか?」
これは特に重要な質問ですから,見積もりに来た人に質問してメモしておきましょう。
よほど高価な塗料を使用しない限り,塗料代は工事価格の2割以下です。
従って,価格は人工(=人数×日数)と比例するのが普通で,延べ15人工と延べ40人工とでは
価格はもちろん,工事の質もかなり違うはずです。
極端に人工が少ない業者は安くても要注意です。
書類上に不明瞭なところがあれば,遠慮なく,どんどん業者に質問してみましょう。
以上のような質問に対して,的確に答えられない業者には依頼しない方がよいと思います。
計画的な見積もり合わせのやり方としては,以下のような方法もあります。
a.A社に見積もりを依頼,なるべく詳細な見積書を出してもらう
b.A社の見積書のうち“金額部分だけを隠したコピー”を用意する
c.B社に見積もりを依頼,bのコピーを渡して 同じ内容の見積書を出してもらう
d.C社に見積もりを依頼,bのコピーを渡して 同じ内容の見積書を出してもらう
この方法ならば“書類上は”工事範囲,仕様ともに同一になりますから, 比較がしやすいです。
しかし,ここまでやっても,一番安い業者が最も良心的な業者とは言い切れないところが
実は見積もり合わせの本当に難しいところです。
施工管理が行き届いているはずの公共工事ですら,手抜き工事が発覚することがあるのは,
現場の仕事が書類通りに行われる保証はどこにもないことの証拠であると私は思います。
ましてや,一般住宅の塗替え工事の場合,一部始終を監視している人は誰もいないのです。
極言してしまえば,書類は単なる文字列にしか過ぎず,施工の質は業者の体質によります。
見積書は あくまでも,信頼できる業者なのかどうかを見極めるための一つの資料と考えましょう。
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