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塗替え Q&A外壁塗装・塗替え・建築塗装の質問と回答

[Q&A.13]サイディングの塗替え時にコーキング(シーリング)
     やり直しをすべきか?

  (訪問者からのご質問です。メールでのやりとりを編集して掲載しました。)
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《W/男性》

築10年の窯業サイディングの塗り直しを計画しています。
貴社HPを見つけ、現在勉強中です。

サイディングのコーキングについて打ち直しと上塗り補修の両論があるようです。
上塗り補修支持者曰く、
古いものを撤去して新しいものを打ち直してもどうせ時間経過で劣化するのだから、
安定した(劣化済みの)現在のものを核にしてひび割れ、痩せた個所を補修すればよい。
貴社HPでは打ち直しを推奨されているようですが、考慮すべきポイントはどんなことでしょうか?

ご意見をお聞かせいただければ幸いです。


既存のコーキング(シーリング)を取り去って,新しいコーキングでやり直すことを「打ち替え」
既存のコーキングの上から新しいコーキングを重ねて充填することを「増し打ち」といいます。
(「増し打ち」ではなく「打ち増し」といわれることもあります)

「打ち替え」か「増し打ち」かは,現在の状態により判断するのが普通で,コーキングが明らかに
裂けていたり,サイディングの断面から剥がれているような状態の場合は,「打ち替え」するのが
常識ではないかと私は思います。

なぜ「常識」なのか?以下に説明してみます。

サイディングの外壁は複数の板を張り継いで出来ているので,建物の歪みや振動,熱による収縮に
よって,サイディング同士の継目(=目地)が動きます。
そこで,柔軟性のあるコーキングを充填して,動いても割れないようにしてあるわけです。
コーキングはただ詰めてあればよいというものではなく,
その性能を発揮するための前提条件として,施工部分の巾に対する厚みが規定されています。

 > 安定した(劣化済みの)現在のものを核にしてひび割れ、痩せた個所を補修

という方法では健全なコーキング材で“目地の巾”に対する厚みを確保することができません。
裂けたり剥がれたりしている場合の“隙間”をちょっと埋めたくらいでは,またすぐに裂けて
しまうと思います。

実際,こんな話があります。(私の知り合いの同業者の体験です)

 サイディングの建物の塗替えを行った際,陽当たりの良いところのコーキングだけが
 裂けたり剥がれたりしていたので「打ち替え」,その他は「増し打ち」した。
 2年後,施主さんから「コーキングが切れてる」と電話がかかってきて,見に行くと,
 「増し打ち」で済ませたところだった。
 これに懲りたので,以後,目地は全部「打ち替え」することにした。

「増し打ち」と「打ち替え」どちらの方が安上がりか,といえば,もちろん「増し打ち」です。
ある業者が“お客さまの御予算に応じて”というような政治的判断?により全部「増し打ち」で
済ませるとしてもそれはそれで一つの方針かもしれませんので否定はしませんが,現在築10年の
お家のコーキングを「増し打ち」で済ませても,次の塗替えまでもつとは思えません。
せっかく足場をかけて工事を行うのであれば,多少値が張っても継目だけは全部「打ち替え」を
してもらった方が良いと思います。
(サイディング同士の継目にくらべると窓の廻りなど他の部分は動きが少ないと思いますので,
継目以外は,“痩せている”程度なら「増し打ち」でもよい場合もあると思います)

なお,私の経験上,建物によっては,ちゃんと「打ち替え」しても2年程度でまた裂けることが
あります。
こうなるとコーキングの劣化以前に,建物自体に問題があることになりますので,対症療法として
「打ち替え」を繰り返すか,根本的に建物を直すか,のどちらかになります。


以上,2001年12月11日着信のメールから始ったやりとりです。

下記ページもご参照ください。

塗替えQ&A/素材別・部位別の注意点とそのポイント/サイディング外壁」(図解入り)

「DIY外壁塗装/付録:コーキング(シーリング)のやり方」

『実録 塗替物語』(サイディング外壁3階建住宅 外壁塗装工事写真日記)


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