●「どの程度の仕事を」「いくらで」引き受けるか
業者の方針や業務形態により異なるからです。
外壁塗装工事の価格を構成する要素は,材料費,人件費,経費,利益です。
【1】材料費
“どのような塗り方をするのか”によって違いは出ますが,塗装工事の場合,工事金額に占める
材料費の割合が少ないので“同じ塗料を使用して同じ回数塗るならば”極端な差はありません。
大きく異なるのは,人件費,経費,利益です。
【2】人件費
塗る以前の準備として,高圧洗浄,養生,下地の補修などにどの程度の手間をかけるのか,
またどのような塗り方をするのかで,作業に要する時間=人件費に大差が生じます。
【3】経費
事務費,営業費,宣伝費等の経費は多かれ少なかれ必要なものであり,見積書に明記されて
いなくても価格に含まれています。
【4】利益
利益がまったく無ければ事業は成り立たず,会社は潰れてしまいます。
「中間マージンをカット!だから安い!!」← これしか目玉がないHPをよく見かけますが,
“完成品の流通”とは全く異なる塗装工事の場合,そんなに単純なものではありません。
見積金額の違いは単に以上“4つの合計額”が異なるだけでなく,“4つの比率”が
業者によって かなり違います。
従って,もっとも重視すべきなのは“4つの合計額”ではありません。
“塗装工事の原価である【1】と【2】の合計”です。
そういわれてみれば,当たり前,ですよね?
ほとんどの方は原価である“もともとの工事価格”というものが「どこに依頼しても同じくらい」
と考えておられる場合が多く,単に安ければ“良心的”と短絡される方も少なくありません。
しかし,“安い”業者の方が“高い”業者よりもはるかに儲かっていることもあり得ますから,
工事金額に相応の原価がかかっていない場合こそ“高い”と判断すべきではないかと私は思います。
くれぐれも,価格を云々する前にその内容をよく検討してください。
実例をあげます。
私の知り合いの同業者が160万円の見積書を持って施主さんのところに行きました。
「何日かかるの?」
「2週間くらいです。」
「何人で?」
「4人です。」
「そりゃ安いなー! このまえ近所に来たペンキ屋は2人で4日で終わったのに100万だったぞ。」
どの業者にも《いくらでどの程度の仕事をするか》その業者なりの方針と存在理由があります。
どのような業者を選ぶべきか?は,その実質を吟味選択する発注者の度量の問題です。
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