［事例］外壁塗装見積もりの単価の妥当性

　　（訪問者からのご質問です。メールでのやりとりを編集して掲載しました。）
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《Ａ／男性／東京都》

築10年の木造家屋です。外壁塗装見積もりの（特に単価）妥当性をお聞きしたい

　外壁塗装　材工共　158m²　単価　2100円　材料　■■シリコン
　仮設、足場、ネット　158m²　単価　1200円　

　単価には経費は含まれておりません

よろしくお願いします

御質問の件につきまして，以下，コメントさせていただきます。

「■■シリコン」なる塗料は聞いたことがありませんでしたので，
検索してみましたところ３つのページを見つけました。

http://www.***.**.**/***.html

このページ↑では，「■■シリコン」が「●●ハウス」（ハウスメーカー）で採用している
塗料であることがわかります。

http://www.***.**.**/***/***/***.html

http://www.***.**.**/***/***/***.html

上の２つのページ↑では「■■シリコン」が「▲▲ペイント」という塗料メーカーのものであることが
わかります。

「▲▲ペイント」のＨＰには，各塗料の概略と「設計価格」（＝単価）が掲載されているのですが，
「■■シリコン」は記載されていません。

以上，どういうことかというと，「▲▲ペイント」が「●●ハウス」向け？に販売している塗料である
ということです。

つまり，「■■シリコン」は当店のような一般の塗装業者には販売されない塗料ですから，
価格はもちろん，具体的な性能・機能は不明です。

漠然と“オリジナル塗料”というだけで，その詳細を公開しないことは
訪問販売系外壁塗装営業会社やハウスメーカーの常套手段であり，
同等品での見積り合わせ等，依頼者による価格調査を避けることも意図されているものと思われます。

そこで，実体を知っていそうな２名の方に電話して聞いてみました。
結果，正確なことはわかりませんでしたが，
「■■シリコン」は「◆◆シリコン」

http://www.***.**.**/***/***/***.html

と“同じようなもの”のようです。
“であるとすれば”『2100円』という価格は概ね妥当ではないかと考えられます。

なお，「シリコン」の塗料はピンからキリまで，１缶の価格が４倍くらい違います。
やや語弊のある表現ながら“正統的なシリコン塗料”の場合，期待耐用年数１２年程度の
「耐候形１種」という公の規格に適合する性能を保持しているはずですが，
「■■シリコン」の場合，おそらくは適合しないものと思います。

当方では上記が限界の回答となりますので，「■■シリコン」について，
憶測でない正確な情報が必要な場合は，Ａ様にその見積りを提出している会社
または「●●ハウス」または「▲▲ペイント」にお問い合わせください。
（明確な回答は得られないかもしれませんが）

次に，足場とネットの価格ですが，しっかりした足場と全面シートであれば，
東京の場合，900〜1300円くらいが妥当な範囲であろうと思いますので，
『1200円』は概ね妥当ではないかと考えられます。

以上，Ａ様のお尋ねに応じた回答をさせていただきましたが，
当方ＨＰのＱ＆Ａで縷々申し述べております通り，
工事の「単価」は統計的な目安にしか過ぎませんので， 妥当と思える数字であっても，
現場での仕事内容の良し悪し・業者の質を判断する基準にはなり得ません。

例えば，同じ塗料を使用した同じ建物の塗り替え工事でも，
２人で５日以下で終わらせてしまう業者もいれば，３週間以上かける業者もおります。

どちらの業者にも自社にとっては尤もな言い分があるでしょうし，
どちらを選ぶ依頼者にも自身にとっては正当な理由があるでしょう。

従いまして，

> 外壁塗装見積もりの（特に単価）妥当性

は，突き詰めて考えて参りますと，
業者側の体質と方針，および，依頼者側の感覚や裁量の問題になりますので，
一概に論じることは無意味です。

また，外壁塗装の見積もり価格は，目の前に完成している物品の売買の価格とは異なり，
これから行われる作業の対価であり，未完成であるがゆえの不確実性を含んでおります。

僭越とは存じますが，内容がよくわからないことを他人に任せるわけですから，
価格を云々する以前に「信頼できる業者かどうか」を最優先にお考えになることが
もっとも肝要と思う次第です。

この返信の中には書きませんでしたが，ある建物の外壁面積とその塗装工事に必要な足場の面積を
正確に計算した場合，外壁面積と足場の面積がぴったり同一になることはゴルフのホールインワンの
ように，かなり稀です。
つまり，この方に出された見積書はテキトーである可能性が高いです。

また，「単価」が妥当でも意味不明な「経費」が上乗せされている場合もあります。

しかし，それらのことは，「単価」の妥当性と同様に，実はあまり重要なことではありません。
なぜかというと，極端な話，見積書は依頼者に納得してもらうためだけに必要とされるものであって，
業者としては，工事総額の中から原価と経費と利益が賄えれば，書類の数字はどうでもいいのです。
だから書類はどうでもいい，ということではありませんが，書類がどんなに上手くできていても，
手抜き工事があり得るということを念頭においてください。

　※ついでに，こちらもごらんください。（この件の補足です）