M様
メールありがとうございました。
曽根塗装店の曽根匡史です。
お尋ねについて,下記にコメントさせていただきます。
> 築9年 木造2階 外壁リシン
> (ザラザラ・砂粒・水かけると吸いますから、1ですね
『1』は専門用語でいうところの「セメントリシン」というもので,
色を付けたセメントに砂粒を入れて吹き付けたようなものです。
築9年であれば,「セメントリシン」ということは考えにくく,
ベースがセメントではなく水性塗料の「アクリルリシン」であろうと思います。
水をかけたときに,コンクリートのドブ板が濡れるように濡れた色になりますか?
水をはじかないというだけで,あからさまに濡れた色にはならない場合は
「セメントリシン」ではありません。
図面があれば,記載してあるはずですから御確認ください。
> ホルダーG2・アクアシリコンAC2で塗りたいと考えてます、
> どうでしょうか?
> 弾性があり、通気性(テカテカ系だと、内部結露が
> 出来易くなると他社のHPで見たような)も、
> それなりで、水性(水で薄めれば、OKなんですよね?)で、寿命が長め
アクアシリコンAC2はテカテカ系です。
内部結露を御心配なさるのでしたら,透湿性を全面に押し出した塗料がよろしいかと思います
(関西ペイントなら「ドリームコート」など)
透湿性(≒通気性)と防水性(透水性の逆)が両立するのが理想の塗膜ですが,
現状では反比例するのが普通です。
つまり,防水性の低いものほど透湿性が高い傾向があり,防水性が高いものほど
透湿性が低いでしょう。
透湿性があると謳う塗料でも,全く塗らない状態よりは透湿性が劣るはずですから,
透湿性が特に低いタイプの単層弾性や複層弾性でない限り,気にしても仕方がないことではないかと
個人的には思います。
内部結露がどうしても気になる場合,詳しくは塗料メーカーにお問い合わせください。
> ◎リシン壁に、この2つの塗料の選択は?
悪くはないと思いますが,本当に「セメントリシン」だったら下塗を変更する必要があります。
> ◎リシン壁でも、高圧洗浄したほうがいい?
> (リシンだと水分吸いとられるけど、在るならやったほうがいいですか?
> Q&Aにありましたけど
Q&Aに書いた通りです。
> ◎塗装って、壁の上から塗っても、下から塗っても問題ない?
> (通常は? 綺麗に仕上げたければ?
上から下へ塗っていくのがセオリーです。
下を先に仕上げて,後から上の下塗をしたら,仕上った面に下塗塗料が垂れてしまいますよね?
先に仕上げたところを養生すればよいかも知れませんが無駄手間です。
> ◎下地用(ホルダーGU)と上塗り(シリコンACU)は、
> どのくらいの間隔で塗ります?
> (逆にこれだけ、空いたら駄目ってありますか?
16時間以上です。
私の記憶では,上限の記載はありませんので,関西ペイントにお問い合わせください。
> ◎リシン(砂粒・ザラザラ)に対して、
> ホルダーUとシリコンUのローラーの種類って何を選択すればいいですか?
ホルダーG2はパターンローラーでさざ波形の模様を付け加える塗り方と
ウールローラーで既存の模様を生かす塗り方があります。
ウールローラーを使用する場合には中毛か長毛です。
> ◎希釈率って、どこくらいですか?
> (だいたいの、考えだけでも・・・暑い時期なら、上限とか、
> 寒いと下限って考え方で合ってます?
希釈率はカタログに記載してあります。
関西ペイントならばHPでカタログがご覧になれます。
当店の場合,ホルダーG2のパターンローラー塗りなら3.5%,ウールローラー塗りなら10%,
水性上塗塗料なら3〜5%,秤で量って入れます。
寒いときに粘度が上がりますから,ちょっと希釈を多めにする場合があります。
また,暑いときは乾燥が早いですから,ちょっと希釈を多めにする場合があります。
塗料により違いはありますが,当店では寒暖に関わらずほとんど変えず,
どちらかといえば中間よりも下限に近い希釈率で塗っています。
なお,水性上塗塗料の場合,上限だと水のように薄くなってしまい,仕上りが貧相になりますので,
おすすめできません。
> ◎中塗りって、少し薄め(希釈率を多め)にして、
> 塗ったりしたほうがいい?
> (DIYの屋根の塗料で、そんな看板を見たので
下塗を行う場合には,中塗り(この場合は上塗の1回目,ですよね?)を薄めにする必要は
ないと思います。
素地の種類によっては中塗りを薄めにして吸い込ませることを意図する場合があります。
また,塗料の種類によっては作業性と肌=ツヤを向上させるため,
上塗の2回目を薄めにする指定がある場合もあります。
「アクアシリコンAC2」のような外壁用水性上塗塗料ではいずれも該当しません。
> ◎曽根塗装さんで、塗料だけの通販してますか?
していません。
「塗料店A」【編註:匿名】のHPは御存知ですか?
DIY塗装する方のために塗料の販売と足場の貸し出し,作業に関するサポートも
してもらえるようです。
M様のような方にはまさにぴったりのHPでしょう。
さて,しかし,私の個人的な意見ですが,家1軒を丸ごと,素材に応じた適切な工程と塗料で
きちんと塗り替えるには少なくとも30人工程度はかかります。
(業者の中には“要領良く”やってその半分以下の人工で済ませてしまうところもあるようですが,
そんな仕事には価値が無いように私は思います。)
30人工とは,3人なら10日ですが,1人でやったら30日かかるということで,
現実には雨の日や休む日も加算され,40日以上になるでしょう。
それを土日だけ(?)で行うとなれば,いったい何ヶ月かかるでしょうか?
馴れないことを,本業の合間を縫ってやるわけですから,危険でもあり,
体力・気力も問題になると思いますし,完成までは御家族との行楽もお預けです。
それだけのリスクを背負うことを覚悟の上でのチャレンジならば止めませんが,
DIYがベストな選択なのかどうか,よく御検討されることが必要かと思います。
ちなみに,過去,DIY塗装についての御質問は何十通もいただきましたが,
完遂された(という御報告をくださった)方はたったの4人,いずれも無職に近い方でした。
[002]2005.10.05(水)06:29
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