外壁塗装 塗替え 神奈川 横浜曽根塗装店

塗替え Q&A外壁塗装・塗替え・建築塗装の質問と回答

[Q&A.20]自分でトタン外壁&リシン外壁&トタン屋根を塗り替えたい

  (訪問者からのご質問です。メールでのやりとりを編集して掲載しました。)
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《A/男性/30代/自営業/神奈川県》

初めまして。塗装に関しては、まあまあ、素人ながらも、知っていたつもりでしたが、
このページを拝見したところ、とんでもない素人だと言う自分に気づきました。
自宅にいながらも木造モルタルなどや鉄筋の塗装に関するノウハウがたくさんあることを
教えていただきました。ありがとうございます。

さて、質問があります。
自宅の外壁面上部に、白い錆と赤錆がブツブツと発生しているので、この際、思い切って
外壁全面を塗り替えようと思います。
木造二階建てで外壁は、カラートタンでくぎ打ちされています。築年数は、10年くらいです。
この頃は、トタン専用錆止め下塗り塗料
 http://www.sundaypaint.co.jp/catalog/index.html などが出ています。
この会社のうたい文句です。

・ 古いトタン板やカラートタンへの密着力がよく、防鋼力が優れています。
・ 青さびやトタン板の白さびに対する浸透力が強く、さび止め効果が大きい。
・ 各社各タイプ(アクリル樹脂系、合成樹脂)のトタン用塗料の下塗り(さび止め)に最適。
・ 亜鉛引き鉄板、鋼板などにも直接塗れます。
・ ―般の鉄部にも、さび止め塗料として使用できます。

錆を落としてからこれを全面に塗って上塗りにトタン用の合成樹脂塗料(変性アルキッド樹脂)を
塗って仕上げようと思います。

そこで、

1.白錆が出てきたと言う事は、やはり、カラートタンと言えども、中身は、亜鉛引きのトタンに
  樹脂コートしたものとみて何か、プライマーを使用しなければなりませんか。

2.塗料の選択としては、問題はないでしょうか。もし、もっと良い選択があったら、
  よろしくお願いします。

3.耐用年数は、一般的には、アルキッド樹脂の場合何年ほどでしょうか。

長くなりましたがトタンに対してどう対応して良いか分からず質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。


御質問の件ですが,以下,ざっとお答えいたします。

 > 1.白錆が出てきたと言う事は、やはり、カラートタンと言えども、中身は、亜鉛引きのトタンに
 >   樹脂コートしたものとみて何か、プライマーを使用しなければなりませんか。

カラー鋼板にもいろいろあると思いますが,大同鋼板のサイト
 http://www.daido-kouhan.co.jp/ にある通り,一般的なものでも,
鋼板と塗膜の間に亜鉛の層があるようです。
プライマーが必要なのは,剥き出しの亜鉛メッキ面に塗装する場合です。
A様のお家の場合,サンドペーパー等で全面を擦っても,亜鉛メッキ面が露出する状態にはならず,
付着を保っている旧塗膜の上に塗り重ねることになると思いますから,特に亜鉛メッキ面用の
プライマーを塗付する必要は無いと思います。
が,万全を期するならば,亜鉛にも密着する下塗の採用をおすすめします。

 > 2.塗料の選択としては、問題はないでしょうか。もし、もっと良い選択があったら、
 >   よろしくお願いします。

さっそくHPを見たところ,『サンデーペイント』のラインナップからの選択
であれば『トタン専用さびどめ』&『アクリル トタン用』でよろしいのではないでしょうか。
“良い選択”にはキリがありませんから,“どの程度で良しとするのか”という問題になります。

 > 3.耐用年数は、一般的には、アルキッド樹脂の場合何年ほどでしょうか。

下地処理の度合と下塗の選択により次の塗替えまでの周期が大幅に異なると思いますが,
それらが完璧であったとしても,A様が指しておられるであろうアルキド系(アルキド系にも
いろいろあります)の場合,上塗を適正な希釈率で2回塗っても,陽当たりの良い面では
1〜2年で艶が無くなり,5年前後で塗替えということになろうかと思われます。
私が自分の家に塗るとしたら...という一例を以下にあげておきます。
下塗:「アレスイーグル/関西ペイント」(1液エポキシ)
上塗:「セラMレタン/関西ペイント」(2液弱溶剤ウレタン)2回塗り
このほかにも選択肢がたくさんあります。

以上,簡略ではありますが,こんなところでよろしいでしょうか?

なお,アンケートの質問『「こんなページを作ってほしい」という御要望』に対して,

 >  自分でやれる事・業者に任せたほうが良い事

という御回答ですので,ちょっと考えてみました。

塗装というものが,ただ単に「とりあえず色が付けば良い」というものではないことは,
A様ならばすでに御理解されていると思います。
時間と根気と体力のある器用な方なら,DIY塗装もよろしいかと思いますが,
きちんと仕上げるためにはノウハウが不可欠です。
しかし,それを提供するのは容易ではありません。
職人として真面目に経歴を重ねていっても,なんとか一人前になるには早くとも5年はかかると
思います。それだけのキャリアをメールのやりとりによる質問と回答だけで埋めるのは基本的に
不可能だからです。
それをあえて試みる場合,現場の状況は千差万別ですから,的確なアドバイスを行うためには,
素材,立地,材齢,状態など「いまどうなっているのか」を具体的に(=私が現地に伺って
目の前にしているのと同然に)説明していただく必要があり,また,「それをどうしたいのか」を
質問者と対面してお話しするようにコミュニケートする必要があり,その上で適切な施工手順と
道具・材料の選択をしなければなりません。
要するに,ノウハウを提供する場合には個別対応になると思います。
個別対応の積み重ねをWEB上にアップしてゆく事の継続によって,最終的には『自分でやれる事』
つまり“塗装の教科書”のようなものが出来上がるのかもしれません。
けれども,そのために私が費やすであろう膨大な時間を考えると,
正直言ってクラクラします...(@_@;)

では,高所の作業にはくれぐれも注意して,がんばってくださいね。


以上,2001年6月21日着信のメールから始ったやりとりです。

そして,それから約2ヶ月後,御報告をいただきましたので御紹介します。


今日は。Aです。6月下旬に質問したきりで申し訳ありません。
曽根さんの選択肢を使わせいて頂いて、下塗りは、アレスイーグル、上塗りは、セラMレタンを
使いまして、まず、トタンの錆落としからはじめましたが、とくに北側の錆がひどくケレンが
たいへんでしたが何とかワイヤーブラシとステンレスの皮すきで落としました。
亜鉛の錆は白い部分だと思ったので軽く塗膜をはがす程度にしました。この部分は、まだ、
亜鉛めっきが効いていて塗装すればまだもつと思います。
そして、赤錆の出た所は、なかなか、ガリガリ皮すきでしても取れにくかったです。何か、凹凸が
出来ているのでほじるようにしないと取れない部分もありました。 この赤錆の部分だけは徹底的に
皮すきとワイヤーブラシで取り除きました。これが、1畳あたり5時間でかなり時間がかかりました。
穴があいてしまったところは、ブチルゴムのパテでチョコット穴埋めしました。
この部分は、錆が出やすいでしょうね。3年持つかな? エポキシの下塗りだから、ウレタンコークで
良かったですね。最初は、アルキッド樹脂の錆止め使おうとしたので ウレタンコークは
アルキッド樹脂に着かないとかいてあったのでこれを選んだのですが、ミスマッチだったでしょうか。
塗らないところは、マスキングテープを使いしました。そして下塗りです。 アレスイーグルは
浸透性の強溶性の塗料でした。カラートタンの下地塗料も溶けます。10パーセントの希釈で塗り
ましたが、ローラーだったのでかなり厚く塗れてしまいます。困ったので、20パーセントぐらいに
して、乾かしては、ぬりぬりして何とか一応の膜圧で塗れたと思います。夏場でトタン板の温度が
上がっていたので、すぐ乾いて、むらに成りやすく何度もローラーを返すと下の塗膜が解けてくる
という始末でした。すこし、リシン模様をサービスでつけてしまいました。
薄くして、2回塗るとうまくいくようです。しかし、下地が溶けて下塗りと密着するからしっかりする
のでしょうか。 エポキシ塗料が空になった缶を、曽根さんのように缶きりで切って潰したところ、
乾いて反応した所は、まるで、陶器のようにパリパリの塗膜でした。硬い。アルキッド樹脂は、もっと
板海苔みたいな感じですね。 そして、すぐに、マスキングテープ取れば良いのに、3日ぐらい
つけっぱなしにしたので、ベタベタくっついてとてもはがれにくくなってしまいました。
弱粘性テープといっても塗装したらすぐにはがさないと普通のガムテープみたいにしつかり着いて
紙が裂けて糊だけ残ったりと、大変でした。
そして、上塗りは、下塗りで苦労したのか、すんなり行きました。はかりで10対1にベースと
硬化剤をぴったりか少し硬化剤が多いぐらいで5分攪拌して10パーセント希釈しました。
セラMレタンは、塗料用シンナーのタイプでとても塗りやすかったです。
ザウルスEXも塗料用シンナータイプでした。不適でしたか? 実は、錆取ったところの塗り残しが
少しあったのでセラMレタンの上にアレスイーグルを少し着けてしまいました。結果は、しわしわに
なってしまいました。そこだけ、取り除いて、上塗りしました。
2ヶ月経ちましたが、なかなか、素人なので、まだ塗り終えていないところがまたまたあります。
今月も、段バシゴひとつで、あがったり降りたりして、塗り進もうと思います。
曽根さんのおっしゃるとおり、塗装は、根気と体力ですね・・・・・・。
そうそう、副作用で、足の筋力がアップしたようです。 また、素人なりに苦労したことをお話したい
と思います。 曽根さんまた、ご指導ください。


A様が本当に「アレスイーグル」と「セラMレタン」で塗替えを行うとは,正直言って,
考えていませんでした。
ですから,まず初めにびっくりしました。
・・・その他,書きたい事が沢山あるのですが,時間がありません。
1ヶ月お待たせしている未提出の見積書が4通あり,新規の見積の御依頼2件に返信をしたためねば
ならず,さらに新規の質問メールが1通といった状況です。 私はすごく遅筆なので,今回のA様の
お便りにちゃんとしたお返事を書くためには5時間ぐらいかかると思います。(前回のメールも
3時間以上かかったと思います)。

そこで今回は肝心な事だけ書きます。

 > カラートタンの下地塗料も溶けます。

というところがとても不安なのです。
どのような溶け方をするのかの状況によっては,「アレスイーグル」の使用はやめた方が良いです。
既存塗膜の色が付いてくる程度なら大丈夫だと思いますが,もし,既存の塗膜が縮んで浮いてくる
のであれば,そのまま上塗り塗料を塗り重ねた場合,密着不良になり,ハゲやすくなると思います。
浮いてきたところは剥離してから塗るか,材料を弱溶剤のものに変更した方が無難です。
コレでいいのかな?とか,何かヘンだな?,とかと思ったら無理矢理塗らずに,メールください。


御忙しい中、速やかな返信をして頂いてありがとうございます。
たくさんの質問が多くて返信のほうも大変な事と思います。
現在の状況をお知らせします。 半分は、1回上塗りして終了しています。
(上塗り2回塗った所は、特に錆の多かっ た部分のみとしました)
「 カラートタンの下地塗料も溶けます。」に付いてですが
アレスイーグルとカラートタンの塗料は、相性がよかったのか、しわになったりすることは
ありませんでした。
ただ、曽根さんの言う 既存塗膜の色が付いてくる程度ですので、 密着不良は、起こっていません。
御気遣いありがとうございます。


そして,それから約1ヶ月後...


今日は。
秋になって、家の近くで、塗装屋さんが仕事に来ています。
曽根塗装屋さんも、とてもお忙しい事と思います。
今日は、ご質問があります。
実家のモルタルが外から見えないために、南側と西側だけ20年以上も、塗り替えせずそのままで、
外壁をこすると、ボロボロと取れてしまいます。
北側と、東側 は、塗装屋さんに6年ぐらい前に塗り替えたのでまだましなのですが、
アクリルシーラーで固めて、つやなしエマルジョン(アクリルかな?)タイプトップ2回塗った
ようです。
そちらホームページでもっと勉強していれば、もっと良い塗料にしてもらったのですが残念です。
自分で塗り替えをいずれ始めたいと思います。
外壁は、リシン(卵のそぼろ)のようなモルタル壁です。
グレードとしては、2液ウレタンのセラMレタンを上塗りに使おうかなと思っています。
ただ、気がかりなのは、下地がもろいので、
 1.アレスホルダーG2をいきなり塗って、2液ウレタンのセラMレタンを上塗り2回
 2.アレスストロングシーラーのようなものを使って2回ぐらい塗って上塗り2回
下地の調整をどうするべきか悩んでいます。
塗料の種類には、こだわりませんので、曽根さんのベストと思われる組み合わせを
ご指南いただきたいと思います。


新たな御質問にお答えする前に,まずは前回のメールへの感想などを。

 >  赤錆の出た所は、なかなか、ガリガリ皮すきでしても取れにくかったです。
 > 何か、凹凸が出来ているのでほじるようにしないと取れない部分もありました。

『凹凸が出来ている』のは,たぶん錆の為の腐食です。
築10年でそれほどになるということは,もしかして,A様のお住まいは海の近くですか?

 > この赤錆の部分だけは徹底的に皮すきとワイヤーブラシで取り除きました。
 > これが、1畳あたり5時間でかなり時間がかかりました。

この行には脱帽です。『1畳あたり5時間』というのは,塗装屋には予算上“現実には許されない”
仕事です。
しかし,本来はそれが職人仕事だったはず,と思いました。
大昔は(?)腕を見込まれた職人が,持てる能力を存分に発揮しつつ丹精に手間を掛け,
施主さんからは材料費と手間代をかかっただけ頂く,というのが“仕事”だったはずです。
しかるに今は,なんでもかんでも“安く”“良く”という,寒い寒い世の中です。
電動工具を用いて能率をあげることも大事ですが,よくよく考えてみると,理想の仕事というものは
もはや,掛ける手間に制限の無いDIYの世界にしか残されていないのかもしれません。

 > アレスイーグルは浸透性の強溶性の塗料でした。
 > 10パーセントの希釈で塗りましたが、ローラーだったのでかなり厚く塗れてしまいます。
 > 困ったので、20パーセントぐらいにして、乾かしては、ぬりぬりして
 > 何とか一応の膜圧で塗れたと思います。
 > 夏場でトタン板の温度が上がっていたので、すぐ乾いて、むらに成りやすく
 > 何度もローラーを返すと下の塗膜が解けてくるという始末でした。

A様がほんとうに「アレスイーグル」を採用するとは思っていなかったので,説明不足でした。
強溶剤の塗料は塗りにくく,また,下地を溶かしたり起こしたりする心配があり,塗っても大丈夫か
どうか,場合によっては,テストする必要があります。
お便りからはトタンの形状がわからないのですが,当店で施工するとしたら,たぶんハケ塗りしたと
思います。
単に“塗る”といっても,“なすり付けるように塗る”のか“乗せるように塗る”のかで,
塗料の使用量が5割以上違うこともあり,もちろん,仕上りの良し悪しもぜんぜん違います
(←ハケでもローラーでも)。
また,「0〜10%」とかという希釈率を遵守することは大切ですが,仕上りがあまりにもゴテゴテに
なってしまう場合には,規定量さえ塗付できれば良いわけですから,もうちょっと延して
“乗せるように塗る”のもテクニックと言えます。
普通のペンキ(=SOP=合成樹脂調合ペイント)に較べると,「セラMレタン」のような,
“弱溶剤系塗料”は少々塗りにくいです。
「アレスイーグル」のような揮発性の高いシンナーで希釈する“強溶剤系塗料”は乾燥が早いため,
もっと塗りにくいです。
そうした塗りにくさは,ハケやローラーの動かし方や塗料の付け方である程度カバーすることが
できますが,最終的には慣れの問題ですから,文章で伝えるのは不可,場数をこなして身体で覚える
しかありません。
陽射しの照りつける真夏のトタンへの塗付はプロでも難しく,そのような場合は日陰から塗っていく
のが望ましいです。(日陰が無い場合には仕方ないですが。)

 > すこし、リシン模様をサービスでつけてしまいました。

という一文に大笑いしてしまいました(失礼)。

 > 上塗りは、下塗りで苦労したのか、すんなり行きました。
 > はかりで10対1にベースと硬化剤をぴったりか少し硬化剤が多いぐらいで
 > 5分攪拌して10パーセント希釈しました。

主材と硬化剤の割合は,あくまで指定通りが望ましく,硬化剤が多ければ早く硬化するというもの
ではないらしいです。どちらかが多い場合には,反応結合する割合からあぶれた分が塗膜不良の
原因になるという話を聞いたことがあります。
ちょっとぐらいの誤差は許容されるはずだとは思いますが,目見当でテキトーにやる業者が少なく
ないらしく,塗料材料店の話では,硬化剤のみ,あるいは,主材のみの注文が結構あるそうです。
当店の場合には,1周20キロと1周1キロの2つの秤を現場に持っていきます。

 > セラMレタンは、塗料用シンナーのタイプでとても塗りやすかったです。
 > ザウルスEXも塗料用シンナータイプでした。不適でしたか?
 > 実は、錆取ったところの塗り残しが少しあったのでセラMレタンの上に
 > アレスイーグルを少し着けてしまいました。
 > 結果は、しわしわになってしまいました。そこだけ、取り除いて、上塗りしました。

「ザウルスEX」も使ったのですか? (「ザウルスEX」は塗料用シンナー希釈,
「アレスイーグル」はエポキシシンナー希釈です)。
現場では完全には除去出来ない錆にどう対処するかという点で「アレスイーグル」は浸透性が強い
ということが謳われており,亜鉛メッキ面にも密着するという文句があるのでA様への返信の
中ではこれをあげました。 けれども,「アレスイーグル」のような強溶剤系塗料を塗ると,
既存塗膜の種類・状態によってはそれが『しわしわ』になることがあり,要注意なのです。
『しわしわ』になるのは旧塗膜を軟化させて起こしてしまうからで,専門用語で「リフティング」
といいます。

 > 2ヶ月経ちましたが、なかなか、素人なので、まだ塗り終えていないところが
 > またまたあります。今月も、段バシゴひとつで、あがったり降りたりして、
 > 塗り進もうと思います。曽根さんのおっしゃるとおり、
 > 塗装は、根気と体力ですね・・・・・・。

『2ヶ月』というところにもびっくりさせられました。お仕事の合間にということでしょうから,
日数がかかるのは致し方ないと思いますが,いやほんとに,よくやりましたねー。
誰にでもできることではないと思います。
塗料材料店の話では,自分で塗るから材料と道具を配達して欲しいという方がたまにいらっしゃる
そうですが,後日そのお家の前を通ってみると,途中で断念されている場合が多く,
さびさびになった缶が放置してあるのを目にしたこともある,とのことです。

 > そうそう、副作用で、足の筋力がアップしたようです。

ここでまた大笑いしてしまいました(再び失礼)。

このメールのあと,画像が送られてきて,カラーシミュレーションまで行っていたことが判明,
さらに驚かされたわけですが,新たな質問がぁっ!!!というわけで,以下にお答えいたします。

 > 実家(店)のモルタルが外から見えないために、南側と西側だけ20年以上も、
 > 塗り替えせずそのままで、外壁をこすると、ボロボロと取れてしまいます。
 > 北側と、東側は、塗装屋さんに6年ぐらい前に塗り替えたのでまだましなのですが、
 > アクリルシーラーで固めて、つやなしエマルジョン(アクリルかな?)タイプトップ
 > 2回塗ったようです。
 > 外壁は、リシン(卵のそぼろ)のようなモルタル壁です。
 > グレードとしては、2液ウレタンのセラMレタンを上塗りに使おうかなと思っています。
 > ただ、気がかりなのは、下地がもろいので、
 > 1.アレスホルダーG2をいきなり塗って、2液ウレタンのセラMレタンを上塗り2回
 > 2.アレスストロングシーラーのようなものを使って2回ぐらい塗って上塗り2回
 > 下地の調整をどうするべきか悩んでいます。
 > 塗料の種類には、こだわりませんので、曽根さんのベストと思われる組み合わせを
 > ご指南いただきたいと思います。

 

1.下地調整

・初めに,理想は高圧水洗です。100キロ以上の圧をかけて洗浄することによって,ホコリなど
の汚れはもちろん,脆弱なモルタルや密着の弱い旧塗膜を落とすことができます。
そこまで強力ではありませんが,家庭用の洗浄機があり,通販で購入することもできます。

・太いひび割れがある場合,水洗いを行うと,そこから水が入ってしまいますので,先に埋めて
おいてください。

・水洗いの後は,十分に乾燥させてください。吸い込みが激しい下地の場合には丸2日間くらいは
乾燥させてください。

・高圧水洗を行うためには足場とシート養生が必須,DIYでは無理だと思いますので,
代替案としては,ホコリだらけになることを覚悟の上で,ワイヤーブラシや左官ブラシで擦って
ください(←これを「ブラッシング」といいます)。

・ひび割れはありますか? 欠損や2〜3ミリを超える太いひび割れがある場合には,
樹脂モルタルで埋めてください。(建材屋で購入してください)。
コテで塗り付けてから,軽く水を切った硬めのハケで段差をボカしてください。

・細いひび割れにはチューブ入りの「ホルダーG2」がおすすめです。
(コーキングで埋めると,塗装の仕様によっては埋めた跡が目立つ結果になることがあります。)

2.シーラー塗り

・「ホルダーG2」のような“微弾性フィラー”といわれるものは,基本的には既存塗膜があり,
それが素地との密着を保っている場合に使用する下塗り材ですから,『外壁をこすると、ボロボロ
と取れてしまいます。』というような状況の時に,いきなり塗ることはマズイです。密着しません。
ですから,微弾性フィラーを塗るにしても,その前に,下地に浸透するタイプの下塗り材,
いわゆる,「シーラー」を塗ってください。

・シーラーにもいろいろあり,強溶剤エポキシ・浸透性の「アレスストロングシーラー」
(よく調べましたねえ!)なら申し分ないです。
非常に吸い込みが激しい場合には,1度でなく,2度塗りすると良いです。
ごくわずかに艶が出る程度に塗るのが良いといわれています。
但し,『8時間以上7日以内』というインターバル(=次の工程の塗装までの間隔)をなるべく
守ってください。
十分な乾燥は勿論ですが,エポキシ系塗料の場合には特に,塗ってからあまりにも日数が経ちすぎる
と,その上に塗る塗料との密着が極端に低下する場合があるそうですので。

・そのほか,強溶剤エポキシシーラーを使用する際には,特に注意すべき点が2つあります。
一つは,非常に臭気が強いということ,もう一つは,リフティングの問題です。
試し塗りをして,リフティングが生じるようでしたら,「エコカチオンシーラー」など,
水性のシーラーを使用した方が無難です。

・北と東の2面は比較的新しい,何だかわからない旧塗膜があるようですので,特に,
強溶剤エポキシシーラーを塗付するとリフティングする可能性が高いと思います。
また,高圧水洗またはブラッシングの結果,旧塗膜が良好な密着を保っている場合には,
強溶剤エポキシシーラーほどのものは不要ですし,そもそも,基本的には,塗膜に対しては
浸透性のシーラーは不要と思います。(テープをしっかり張って,勢い良く剥がしてみてください。
剥がれなければ,十分な密着と言えます。)

3.微弾性フィラー塗り

・微弾性フィラーを塗付すると,肌が滑らかになります。
5%程度希釈して羊毛状のローラーで塗付しても良いのですが,ひび割れや欠損が多く,下地の
アラが目立ちそうな場合には,希釈2%程度,ヘチマ繊維状の「多孔質ローラー」といわれる
厚塗り用のローラーを使用して塗ってください。
前者の場合,希釈後の所要量は1平方メートルあたり0.4〜0.6kgくらいです。
後者の場合には「さざ波模様」とか「マスチック模様」とか「スチップル模様」とか言われる模様が
付き,所要量は0.8〜1.2kgくらいです。

・どろどろの塗料なので,希釈撹拌するときに棒でかき混ぜるのはとても大変ですから,
電気ドリルに長いシャフト,その先端にプロペラが付いた「撹拌機」とか「オートマゼール」と
いわれる道具が欲しいところです。

・ひび割れが多い場合,その再発を防ぐためには,微弾性フィラーを厚めに塗ることでもある程度
効果があると思いますが,『ベストと思われる組み合わせをご指南いただきたい』ということです
ので,関西ペイントから最近発売されたばかりの「ドリームコート」についても書いておきます。
「ドリームコート」は,つや消しの厚膜塗料で,弾力性という点では,微弾性フィラーや
単層弾性塗料よりもはるかに優れています。
当店ではまだ使用したことはありませんが,比重が軽いため,塗りやすく,熱伝導率が低いため,
断熱効果があるとの事です。 シーラーの後,これを多孔質ローラーで2回塗りするのが標準仕様
ですが,さらにトップコートを施してもOKです。

・なお,微弾性フィラーで厚塗りを行う場合,および,「ドリームコート」を採用する場合には,
厚く塗る分,乾燥に時間がかかりますので,気温が5度を下回るような真冬の施工はおすすめ
できません。
また,多孔質ローラーでの塗付は塗り継ぎが非常に目立ちやすいため,コツと慣れが必要です。
梯子で移動しながらの作業でキレイな仕上りにするのは相当難しいというか,不可能に近いと
思います。

4.トップコート塗り

・シーラーが塗ってあれば,3の工程は省略しても構いません。
トップコートは「セラMレタン」でも良いのですが,私は,弱溶剤塗料は主に鉄面や平滑面に
適すると思っていますので,下地がモルタルの場合には,塗膜の厚み・柔軟性の点から,
水性塗料をおすすめします。

・関西ペイントには外装用水性トップコートが下記6グレードあります。
   「コスモアクリル」
   「アクアグロス」
   「コスモレタン」
   「アクアレタン」
   「コスモシリコン」
   「アクアシリコンAC2」
「セラMレタン」と同等程度のグレードは「アクアレタン」になるかと思います。

・「ドリームコート」のカタログには,艶有仕上げにしたい場合には「アクアレタン」を塗る仕様が
載っています。

・いずれを選択するにしてもトップコートは2回塗りが望ましいです。
上記,1,2,3,4,いずれの工程も選択肢があり,どれを選んで組み合わせるかは現況の判断,
および,A様のやる気と予算によります。
このほかにも沢山の仕様,選択肢があると思いますが,
高圧水洗+適切な「シーラー」+「ドリームコート」多孔質ローラー2回(または吹き付け2回)
+「アクアシリコンAC2」2回,という仕様が関西ペイント製品でのベストでしょう。

それでは,健闘をお祈りします!!


そして,それから約8ヶ月後...


今日は。昨年お世話になった、Aです。
夏になって、曽根さんのお仕事も、一息つけそうなときでしょうか?
あれから、忙しくなって、塗装作業は、行っていませんでした。
しかし、ようやく、じかんが出来たので、そろそろはじめようかと思っています。
1.下地調整
下地調整は、ブラッシングにしようと思います。かなり下地は、ヘアークラックが出ています。
が、大きなヒビは、まだ見られません。
2.シーラー塗り
シーラーは、南側全面ボロボロと外壁が取れてしまうところなのでストロングシーラー
(4リットルで足りそう・・・・)を使用して、他の部分(旧塗膜があるところ)は、
エコカオチンシーラーを使おうと思います。
3.微弾性フィラー塗り
ひび割れが広くあるので、微弾性フィラーを塗る必要がありそうです。ドリームコートは、
性能的には良いと思いますが、多孔質ローラーでは、むらになりそうです。
ウーローラーなどの毛のローラーでは、無理でしたら、ホルダーG2をローラーで
塗ったほうが無難かなと思いますがいかがな物でしょうか。
4.トップコート塗り
トップコートに関しましては、トタン塗りした時のセラMレタンが16キロ余っていまして、
今回塗る外壁の色と同じです。一年放置したままで開封もしていませんが、いずれ固まって
しまうと思いますので、これを使用したいと思います。本当は、「アクアシリコンAC2」を
購入したかったのですが次回使いたいと思います。
まとめとして
1.ブラッシング
2.ストロングシーラー(油性) 2回 &(旧塗膜があるところは、エコカオチン
シーラー (水性) 2回
3.ホルダーG2 (水性) 1回
4.セラMレタン  (油性)2回
で行こうかなと思います。なにか、良くないことがあれば、遠慮なくおっしゃってください。
それから、新たにトタン屋根なのですが、エコカオチンシシーラーとエコシリコンで
カラートタンの塗り替えをしようと思いますがどうでしょうか。
屋根は、特別に違う塗料が良いのでしょうか。


『そろそろはじめようかと思っています』と書かれているのに,このメールをいただいた頃は現場と
書類作成でぜんぜん時間の余裕がなく,しばらくは返信を書けそうになかったので,当方に電話して
いただきました。
なので,文章は残っていませんが,お話した内容を以下にざっと書いておきます。

 > ひび割れが広くあるので、微弾性フィラーを塗る必要がありそうです。

巾の広いひび割れがあったら,微弾性フィラーを“塗るだけ”では埋められません。
あらかじめひび割れを埋めてから,塗ってください。

 > ホルダーG2をローラーで

ウーローラーで「ホルダーG2」を塗る場合の希釈率は缶に書いてありますが,7〜12%です。
10%でよいでしょう。

決定した外壁塗装の仕様については問題ないです。
しかし,

 > エコカオチンシシーラーとエコシリコンでカラートタンの塗り替えをしようと思いますが

という,トタン屋根の塗替え仕様はダメです。
「エコカオチンシシーラー」は金属面には適しません。
トタンの下塗には錆止塗料を使用してください。
上塗は「エコシリコン」でも悪くはありませんが,新たに購入するのであれば,屋根用の塗料に
した方が良いでしょう。
屋根用の塗料は屋根に塗った時に汎用の塗料よりも膜厚が付くように作られているほか,
激しい温度差による素材の収縮に追従するよう塗膜が柔らかめに作られているそうです。
ただ,水平に近い面に塗ることを前提にしてありますから,外壁など垂直面に塗るとダレ易いです。
ですから,余ったら他に使おうと思っているのなら,「エコシリコン」の方がいいかもしれません。

「関西ペイント」の場合,下記5種類の屋根用塗料を発売しています。

 安価「SDルーフペイント」(合成樹脂調合ペイント=SOP系)
 ↓ 「ACルーフペイントリッチ」(アクリル樹脂系)
 ↓ 「スーパーウレタンペイント」(ウレタン樹脂系/2液形)
 ↓ 「スーパーシリコンルーフペイント」(シリコン樹脂系)
 高価「グラファイトシリコンルーフペイント」(特殊な顔料を使用したシリコン樹脂系/黒のみ)

 

その後は連絡がありませんが,このA様からは,またいつか質問メールがくるような気がします。


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