> 金属系のサイディングなら、その後のメンテナンスは不要になるのでしようか。
不要とは言えません。
私が知る限りでは,金属系サイディングには,鉄,アルミ,銅,ステンレスの4種類があり,
いずれも表面に塗装が施されています。
錆びる素材は保護の観点から塗装が必要であり,錆びない素材であっても金属地肌そのままでは
見栄えに不都合があるため,美観上の理由で塗装されているわけです。
塗装してあるということは,塗装の宿命=「艶引け・褪色・変色」と無縁ではありえません。
「永久にメンテナンス不要な塗料」(一度塗ったら塗り替えの必要が無い塗装)が
存在しない以上は塗替えの必要が生じると思います。
また,メンテナンスの動機は“汚れ”にもあろうかと思います。
汚れれば洗浄するなり塗り替えるなりしたくなるのが人情でしょう。
以下,それぞれのサイディングについて補足しておきます。
●鉄(スチール)
一般に,7年〜10年くらいで塗装が粉化してきます(触ると手に白い粉が付く)。
そうなると,塗膜による保護機能も失われているわけで,そのまま放置すると錆び始め,
錆は次第に広がってゆき,やがて穴が空くでしょう。つまり,時期を見て塗替える必要が
あります。
●アルミ
アルミ・サイディングの塗替え施工例は当店にはありませんが,ビルなどのアルミ製の
外装パネルの塗替えは良くある工事のようです。
一般に,アルミは錆びないと思われていますが,外気に直接触れていると白い錆びを生じ腐食
します。(保護層が劣化した古いアルミサッシや自動車のタイヤのアルミ・ホイールが粉を吹いた
ように錆びているのをご覧になったことがあるかと思います)。
穴が空くほど腐食するには鉄よりも多くの時間がかかるとは思いますが。
●銅
一般住宅で銅のサイディングを張ることはまずないと思いますが...
当店で施工した例は寿司店の外壁の一部でした。
水槽が設置されている周囲の部分に魚の出し入れのたびに海水がかかるため,変色&青緑色の
錆びが生じて汚らしい,なんとかしてほしいと依頼されました。
ピカピカでない微妙な銅の色の状態でクリア(透明無着色)塗装仕上げをされていましたが,
復元は不可能に近いので,オーナーに了解を得た上で銅の色に塗り潰しました。
銅は酸性雨の影響を受けやすいのでステンレスよりも耐久性が劣るという話を耳にしたことが
ありますが,塗装の劣化・変色・錆を気にしなければメンテナンス不要に近い素材だと思います。
●ステンレス
話に聞いたことがあるだけで,実物のステンレス・サイディングは見たことがありません。
屋根の素材としては何度も見たことがあり,着色またはクリア塗装してありました。
錆びるということが無いので,塗装の劣化を気にしなければ,まさにメンテナンス不要だと思います。
ここまで書いて気付いたのですが...私は金属系サイディングの専門家ではありません(笑)
その筋の専門家にも是非お尋ねください。
専門工事業者の意見,金属系サイディングメーカーの技術担当者の意見は,
単なるペンキ屋である私の回答よりも参考になると思います。
なお,金属サイディングの場合には,縦のつなぎにはコーキングではなく,断面が“エ”の字型
の金具に差し込んで取り付けられるようです。見た目は若干うっとうしいですが,これなら
コーキングの劣化を心配する必要はありません。
以上,参考に値する回答になり得ているか不安ですが...
まとめとして,K様は現在のお住まいにいつまで居住する御予定でしょうか?
例えば,とりあえず,築30年目までと区切って考えてみてください。
A.窯業サイディングのまま塗り替え続ける場合に要する費用の合計
B.金属製サイディングにする場合にかかる費用とそのメンテナンスに要する費用の合計
どちらを選択した方が合理的なのか,さらに調べたり見積をとってみたりして御検討なさって
ください。
また,それぞれの費用の合計を算出するにあたっては,外壁だけでなく,木部?,軒裏?,
トタン?など,その他の部分のメンテナンスについても考え合わせてください。
例えば,外壁を10年間メンテナンス不要のものに変更したとしても,破風(屋根の先端部,
雨樋が取り付けられている帯)が木製ならば,3,4年周期での塗替えが必要であり,
そのためだけに足場が必要な場合もあるでしょうから。
さて,最後に私からのお願いです。
K様の熟慮・検討の結果,どのようなリフォームをなさったか,その選択の理由等々,
後日お知らせいただければ当方たいへん勉強になり幸甚です。
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